交 - 漢字私註
説文解字
交脛也。从大、象交形。凡交之屬皆从交。古爻切。
- 十・交部
説文解字注
交脛也。交脛謂之交。引申之爲凡交之偁。故爻下曰、交也。烄下曰、交木然也。𤉧下曰、交灼本也。㮐下曰、木參交以枝炊䉛者也。衿下曰、交衽也。凡㒳者相合曰交。皆此義之引申叚借耳。『〔詩・小雅〕楚茨・傳』東西曰交、邪行曰逪。䢒逪字之叚借也。『小雅』交交桑扈。〔註1〕《箋》云、交交猶佼佼。飛往來皃。而黃鳥。『〔詩・小雅〕小宛・傳』皆曰、交交、小皃。則與本義不同。葢方語有謂小交交者。从大、象交形。謂从大而象其交脛之形也。古爻切。二部。凡交之屬皆从交。
- 註1
- 「交交桑扈」の句は、『詩・小雅・小宛』『同・同・桑扈』に見える。
康煕字典
- 部・劃數
- 亠部・四劃
- 古文
- 䢒
『廣韻』古肴切『集韻』『韻會』『正韻』居肴切、𠀤音郊。『小爾雅』俱也。『廣韻』共也、合也。『易・泰卦』上下交、而其志同也。
又友也。『易・繫辭』上交不諂、下交不凟。『禮・郊特牲』爲人臣者無外交、不敢貳君也。
又交交、鳥飛貌。『詩・秦風』交交黃鳥。
又交加、參錯也。『前漢・劉向傳』章交公車。
又州名、南越地、漢置交州。『書・堯典』申命羲叔宅南交。『蔡傳』南交、南方交趾地。
又衣領也。『揚子・方言』衿謂之交。
又同蛟。『前漢・高帝紀』則見交龍於上。『史記』作蛟。
又同鵁。『司馬相如・上林賦』交精旋目。卽鵁鶄。
音訓
- 反切
- 『廣韻・下平聲・肴・交』古肴切
- 『集韻・平聲三・爻第五・交』居肴切
- 官話
- jiāo
- 粤語
- gaau1
- 日本語音
- カウ(漢)
- 訓
- まじはる。まじへる。まじはり。こもごも。
解字
白川
象形。人が足を組んでゐる形に象る。『説文解字』に交脛なり
といふ。
轉じて交錯の意となり、交通、交互のやうな相互の關係の意に用ゐる。
藤堂
象形。人が足を交叉させた姿を描いたもので、×型にまじはること。
落合
象形。人が足の脛の部分を交叉させた狀態を正面から見た形であり、「まじはる」の意を表す。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 地名またはその長を表す。第一期(武丁代)には殷に敵對して交方と稱されてゐる。《輯佚》141
…德交方。
- 崇交
- 人名。一二間期(祖己代)。恐らく崇の領主。
漢字多功能字庫
交の甲骨文、金文、篆文の構形は大字の變體で、人が兩手を伸ばして開き、兩腿を交叉する形に象る。本義は兩腿の交叉。
甲骨文の舊く交と釋された字の一部に黃字が混じつてゐる。裘錫圭〈說卜辭中的焚巫尪與作土龍〉を參照せよ。甲骨文では疑ふらくは氏族名に用ゐる。
金文では氏族徽號に用ゐる。交鼎鼎交鼎。
傳世典籍に絞に作る。『左傳・哀公二年』春、伐邾、將伐絞、鄰人愛其土、故賂以漷沂之田而受盟。
杜預注絞、邾邑。
『地名攷略』在今滕縣北。
戰國竹簡での用義は次のとほり。
- 交往(つきあふ、行き來する)を差す。《上博竹書一・性情論》簡25-26
同方而交、㠯(以)道者也。不同方而交、㠯(以)古(故)者也。
志向が同じ人が互ひに交往するのは、道が原因である。志向が同じでない人が交往するのは、特定の目的のためである、の意(季旭昇)。 - 讀んで校となす。《郭店楚簡・魯穆公問子思》簡6
夫為其君之古(故)殺其身者、交(校)彔(祿)雀(爵)者也。
『廣雅・釋言』效、考也。
王念孫疏證效之言校也。
君主が原因で殺された人は、俸祿爵位を計り較べた人である、の意。
傳世文獻に交は多く交錯あるいは結交(交際)を差す。
吳語では交は的に相當する。陸澹安《小說詞語匯釋》交字在吳語中等於的字。
- 『海上花列傳』第五回
耐哚慢慢交用。
「慢慢交用」は「慢慢的用」のこと。
屬性
- 交
- U+4EA4
- JIS: 1-24-82
- 當用漢字・常用漢字
關聯字
交に從ふ字を漢字私註部別一覽・大部・交枝に蒐める。