寄 - 漢字私註
説文解字
託也。从宀奇聲。居義切。
- 七・宀部
説文解字注
託也。字从奇。奇、異也。一曰不耦也。《言部》曰、託、寄也。『方言』曰、餬託庇寓媵寄也。从宀奇聲。居義切。古音在十七部。
康煕字典
- 部・劃數
- 宀部・八劃
『唐韻』『集韻』『韻會』居義切『正韻』吉器切、𠀤音記。『說文』托也。『增韻』寓也。『周語』國無寄寓。《註》不爲廬舍以寄羈旅之客也。
又『齊語』管子曰、作內政而寄軍令焉。
又『廣韻』附也。『增韻』傳也。『禮・王制』東方曰寄。《註》東方通言之官、謂傳寄東方之言也。
又郊遂寄棘、屛退不率敎者於遠方曰寄。
又『史記・酷吏傳』請寄無所聽。《註》請寄、猶囑托也。
又寄生、草名。
又寄居、小蟹名。
音訓
- 音
- キ(漢、呉) 〈『廣韻・去聲・寘・寄』居義切〉[jì]{gei3}
- 訓
- よる(寄寓)。よせる(寄託)。
- (國訓) よる(寄合)。よせる(寄せ算)。
解字
白川
形聲。聲符は奇。奇に不安定なものの意があり、寄に倚寄し、寄託する意がある。
『説文解字』に託するなり
とあり、『論語・泰伯』可以託六尺之孤、可以寄百里之命
(以て六尺の孤を託すべく、以て百里の命を寄すべし)のやうに、人に寄託することをいふ。
寄宿、寄寓にやうに用ゐ、傳言を寄語といふ。
藤堂
宀と音符奇の會意兼形聲。奇は、大(人)と音符可の會意兼形聲で、身體が一方に片寄つた足の不自由な人。平均を缺いて片方に寄る意を含む。踦の原字。寄は、頼りとする家の方に片寄り、寄り掛かること。
漢字多功能字庫
- 『論語・泰伯』
可以託六尺之孤、可以寄百里之命、臨大節而不可奪也。君子人與。君子人也。
依附(附著する、頼る、附き從ふ)、依賴(頼る、依存する)を表す。
- 『廣雅・釋詁』
寄、依也。
- 『列子・天瑞』
杞國有人憂天地崩墜、身亡所寄、廢寢食者。
寄居を表す。
- 『左傳・襄公十四年』
齊人以郲寄衛侯、及其復也、以郲糧歸。
寄放(一時的に預ける)を表す。
- 『後漢書・孔融傳』
譬如寄物缶中、出則離矣。
寓意、寓托、つまり思想感情、理想、希望をある人や事物に託することを表す。
- 『晉書・謝朗傳』
新婦少遭艱難、一生所寄唯在此兒。
人に託して遞送(送り屆けること)、轉交(取り次いで渡す、言附かつたものを渡す、屆ける)することを指す。現代の「郵遞」の概念もまたこの義より來たる。
- 北周・庾信〈擬連珠〉
白雁抱書、定無家可寄。
贈與、贈送を指す。
- 前蜀・貫休〈閑居擬齊梁〉之三
山翁寄朮藥、幸得秋病可。
古代には東方民族の言葉を飜譯する官吏を寄と稱した。『禮記・王制』五方之民、言語不通、嗜欲不同。達其志、通其欲、東方曰寄、南方曰象、西方曰狄鞮、北方曰譯。
孔穎達疏其通傳東方之語官謂之曰寄、言傳寄外內言語。
屬性
- 寄
- U+5BC4
- JIS: 1-20-83
- 當用漢字・常用漢字