竝 - 漢字私註
説文解字
倂也。从二立。凡竝之屬皆从竝。
- 十・竝部
説文解字注
倂也。《人部》倂下曰、竝也。二篆爲轉注。鄭注禮經古文竝今文多作倂。是二字音義皆同之故也。古書亦多用爲傍字者。傍、附也。从二立。蒲迥切。十一部。凡竝之屬皆从竝。
康煕字典
- 部・劃數
- 立部・五劃
『廣韻』蒲迥切『集韻』『正韻』部迥切、𠀤音倂。『類篇』倂也、比也、皆也、偕也。『書・立政』以竝受此丕丕基。『詩・齊風』竝驅從兩肩兮。『禮・禮運』聖人參於天地、竝於鬼神。
又『類篇』蒲浪切、傍去聲。近也。『晉書・百官志』侍中中常侍得入禁中、散騎竝乘輿車。
又連也。『史記・大宛傳』竝南山。『前漢・郊祀志』北竝勃海。
又『類篇』部滿切、讀如伴。『前漢・地理志』牂柯郡屬縣。《註》竝、音伴。
亦作並。
- 部・劃數
- 一部・七劃
『集韻』竝、隷作並。
- 部・劃數
- 補遺・人部(十劃)
『篇海類編』蒲孟切、鼓上聲。俱也、𠀤也。又音𠀤。義同。
異體字
或體。
或體。
音訓
- 音
- ヘイ(漢) 〈『廣韻・上聲・迥・竝』蒲迥切〉[bìng]{bing6/bing3}
- 訓
- ならぶ。ならびに。ともに。みな。
解字
白川
會意。立を竝べた形。立は位。その位置すべきところに竝んで立つことをいふ。
『説文解字』に倂ぶなり。二立に從ふ。
といふ。
幷は二人相竝ぶ側身形。竝は相竝ぶ正面形。从、比は前後相從ふ形。みな二人相從ふ字。
藤堂
會意。人が地上に立つた姿を示す立字を二つ竝べて、同じやうに竝ぶさまを示したもの。同じやうに橫に竝ぶこと。略して並と書く。
また、倂に通じる。
落合
會意。人が立つた姿の立を二つ用ゐて人が竝んでゐる狀態を表した字。
甲骨文での用義は次のとほり。
- ならぶ。《合集》11503・驗辭
七日己巳夕垔、有新大星、竝火。
- ならびに。倂せて。《合集》23326
貞、妣庚歲、竝酒。
- 祭祀名。參列の意味か。《甲骨拼合集》222
辛未貞、今令即竝。
- 地名またはその長。殷金文の圖象記號にも見える。《英藏》608
癸丑卜賓貞、令邑竝執宰。七月。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は、二つの大あるいは立に從ふ。二人が地上に正面を向いて橫に竝んで立つ形に象る。本義は竝立。
丁山は、古く竝と幷は同じ字であつたとする。按ずるに、甲骨文、金文の竝と幷の字形は、用法に違ひがあるが、後世の典籍では混用され違ひがない。
甲骨文では人名、地名に用ゐる。また倂(倂せる、合倂する、一つにする)を表す(徐中舒)。
金文での用義は次のとほり。
- 並排(橫に竝ぶこと)、共同を表す。中山王方壺
將與吾君竝(並)立於世
。 - 人名、族氏名に用ゐる。
小篆は竝に作り、甲骨文、金文と同形。異體をまた𡘋に作る。
屬性
- 竝
- U+7ADD
- JIS: 1-67-77
- 並
- U+4E26
- JIS: 1-42-34
- 當用漢字・常用漢字
- 𠀤
- U+20024
- 𡘋
- U+2160B
關聯字
竝に從ふ字を漢字私註部別一覽・大部・竝枝に蒐める。