枼 - 漢字私註
説文解字
楄也。枼、薄也。从木丗聲。
- 註に
臣鉉等曰、當从𠦃乃得聲。𠦃、穌合切。
といふ。 - 六・木部
説文解字注
楄也。方木也。枼、逗、薄也。枼上當有一曰二字。凡本片之薄者謂之枼。故葉牒鍱䈎偞等字皆用以會意。『廣韵』偞、輕薄美好皃。從木㔺聲。與涉切。八部。按、鉉曰、當從卅、乃得聲、此非也。《毛傳》曰、葉、世也。葉與世音義俱相通。凡古侵覃與脂微。如立位、盇葢、疌屮、協荔、軜內、籋爾、遝隶等。其形聲皆枝出。不得專疑此也。
康煕字典
- 部・劃數
- 木部・五劃
『唐韻』與涉切『集韻』弋涉切、𠀤音葉。『說文』楄也。一曰薄也。鄭樵曰、卽葉字。
又『說文』蘇合切。義同。
又『玉篇』與涉切。與楪同。牖也。
『篇海』一作枽。
- 部・劃數
- 木部・五劃
同枼。
音訓・用義
- 音
- エフ(漢、呉) 〈『廣韻・入聲・葉・葉』與涉切〉[yè]
葉に同じ。また薄い木片、木札を指す。また楪と通じて窗を指す。
解字
白川
世と木の會意。世は木に三本の枝を生ずる形。新しい枝を加へる意。
『説文解字』に楄なり。枼は薄きものなり。
とする。
金文に世の繁文として用ゐる。
枝上に生ずるものを葉といふ。
藤堂
象形。三枚の葉が木の上にある姿を描いた字。「薄つぺら」といふ意を含む。
落合
世亦聲の形聲字。
世は木の葉の象形字。十を三つ竝べた形に見えることから、「三十年」といふ解釋で世代などの意味で使はれるやうになつた。そのため、原義を表すべく意符として木を加へた枼が作られた。西周代には世の略體としての止を用ゐた字體(隸定形は杫あるいは枻)であつたが、東周代には枼の形になつてゐる。
東周代には更に意符として艸を加へた形があり、これが後代に繼承されて葉となつた。
漢字多功能字庫
枼は樹上に葉のつく形に象り、葉の初文。
商代氏族金文に木に葉のある形に象り、葉の初文。
後期金文は形聲字に變はり、木に從ひ世聲。金文では讀んで世となし、世代を表す。王孫遺者鐘枼(世)萬孫子、永保鼓之
。『詩・商頌・長發』昔在中葉、有震有業。
毛亨傳葉、世也。
今なほ、葉には二十世紀中葉のやうに、時期、世代の意がある。
このほか、金文には別に艸と木に從ふ字があり、李學勤は字應釋為枼、讀為世、假借為歲字。
といふ。右𫹒車嗇夫鼎十四㭉(枼)、右𫹒車嗇夫
。
屬性
- 枼
- U+67BC
- JIS X 0212: 35-22
- 枽
- U+67BD
- JIS X 0212: 35-23
關聯字
枼に從ふ字を漢字私註部別一覽・世部・枼枝に蒐める。