禍 - 漢字私註

説文解字

示部禍字條

害也。神不福也。从聲。
示部

旡部𣄸字條

𣄸
屰惡驚詞也。从聲。讀若楚人名多夥。
㒫部

康煕字典

部・劃數
示部九劃
古文
𥚍
𣨷
𥙯

『唐韻』『正韻』胡果切『集韻』戸果切『韻會』合果切、𠀤和上聲。『說文』害也、神不福也。『釋名』毀也、言毀滅也。『增韻』殃也、災也。『詩・小雅』二人從行、誰爲此禍。『禮・表記』君子愼以避禍。

又作。『前漢・五行志』六畜謂之旤、言其著也。

又作祻。『晉書・文帝紀』𥚽同發機。

又叶後五切、戸上聲。『馮衍・顯志賦』昔三后之純粹兮、每季世而窮禍。弔夏桀於南巢兮、哭殷紂於牧野。野、音豎。

又叶紙韻、虎委切。『荀子・成相篇』世之禍、惡賢士、子胥見殺百里徙。

又叶支韻、許規切。『荀子・成相篇』論臣過、反其施、尊主安國尚賢義、距諫飾非、愚而上同、國必禍。義叶宜。

部・劃數
示部・七劃

『集韻』古作𥙯。註詳九畫。

部・劃數
示部八劃

『字彙補』古文字。註詳九畫。

部・劃數
无部九劃

『玉篇』同𣄸。『前漢・五行志』數其旤福。《註》旤、古字。

又『韻補』叶後五切。『前漢・敘傳』致死爲福、每生爲旤。叶上社、社音土。

部・劃數
无部九劃

『廣韻』胡果切『集韻』戸果切『韻會』合果切、𠀤音夥。『說文』屰惡、驚詞也。从㒫咼聲。『玉篇』神不福也。今作。與𣄸同。

部・劃數
歹部九劃

『集韻』古作𣨷。註詳示部九畫。

廣韻

卷・韻・小韻
上聲・果・禍
反切
胡果切

害也。

胡果切。七。

異體字

簡体字。

音訓

クヮ(漢) 〈『廣韻・上聲・果・禍』胡果切〉
わざわひ

解字

白川

形聲。聲符は。咼は殘骨を用ゐて呪詛を行ふ意。それによつて齎されるものを禍といふ。

『説文解字』に害なり、『釋名・釋言語』に毀なりといふ。毀も殘骨を毆つて呪詛する意。

字はまた旤に作る。

𣄸

形聲。聲符は。咼は殘骨を用ゐて呪詛を行ふ意。は頭を背ける形。

『説文解字』に屰惡、驚く詞なりとあり、驚き歎く聲をいふ。

藤堂

(祭壇)と音符の會意兼形聲。冎は關節骨が嵌り込む丸い穴のこと。咼は冎とで、丸く凹んだ穴のこと。禍は神の祟りを受けて思ひ掛けぬ穴に嵌まること。

落合

甲骨文は、肩甲骨の象形であるの會意で、甲骨占卜で卜兆が出現したさまを表してゐる。卜を省く異體もある。甲骨文では轉じて凶事の意に用ゐられてゐる。不吉の象徵としてを加へた字形もあり、番犬が吠えることを凶兆としたものであらう。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. わざわひ。凶事の汎稱。《殷墟小屯中村南甲骨》32・末尾驗辭癸未卜、有禍。允有禍。
  2. わざわひする。凶事を與へること。《合集》22083己卯卜、[⿱亼⿰阝止]用、尹司于父乙、亡禍尹。
禍巫九咎
占卜用語。詳細は不明。第五期(文武丁乃至帝辛代)に見える。《合集》36528乙丑王卜貞、今、禍巫九咎、余亡尊。過告侯田、冊𠭯方羌方羞方轡方、余其從侯田戴、戔四封方。

字形は古文で卜を省きを加へての形となり、また原義についてはを加へた繁文の禍で表されるやうになつた。

漢字多功能字庫

金文はに從ひ聲。本義は災害、禍殃。古人は天神の保佑、福蔭がなければ、災害があると考へた。戴家祥は、禍字が示に從ふのは、禍害は神の懲罰によることを表す、とする。

金文では本義に用ゐる。中山王方壺隹(唯)逆生禍、隹(唯)順生福。は、逆らへば災ひが起こり、順へば福が起こる、の意。

戰國竹簡ではを假借して禍となす。《睡虎地秦簡・為吏之道》簡5正行脩身、過(禍)去福存。

漢帛書でも本義に用ゐる。

禍字の異體はに從ふ。《上博竹書五・三德》簡14に見える。

また咼とに從ふ異體(旤あるいは𣄸)が《馬王堆帛書・老子甲本》第72行に見える。『玉篇』𣄸、神不福也。今作禍。

屬性

U+798D
JIS: 1-18-50
當用漢字・常用漢字
U+FA52 (CJK互換漢字)
JIS: 1-89-31
人名用漢字
禍︀
U+798D U+FE00
CJK COMPATIBILITY IDEOGRAPH-FA52
禍󠄀
U+798D U+E0100
CID+13325
禍󠄁
U+798D U+E0101
CID+1362
禍󠄂
U+798D U+E0102
MJ018894
禍󠄃
U+798D U+E0103
MJ030280
禍󠄄
U+798D U+E0104
MJ058212
𥙯
U+2566F
𥚍
U+2568D
U+65E4
𣄸
U+23138
𣨷
U+23A37
U+7978