隱 - 漢字私註
説文解字
- 隱
蔽也。从𨸏㥯聲。
- 十四・𨸏部
康煕字典
- 部・劃數
- 阜部十四劃
- 古文
- 𤔌
- 乚
『唐韻』『正韻』於謹切『集韻』『韻會』倚謹切、𠀤音櫽。『爾雅・釋詁』隱、微也。《註》微謂逃藏也。『易・乾卦』龍德而隱者也。
又『禮・禮運』大道旣隱。《註》隱猶去也。
又『說文』蔽也。『玉篇』匿也。『論語』言及之而不言、謂之隱。『禮・檀弓』事親有隱而無犯。『魯語』𠛬五而已、無有隱者、隱乃諱也。
又『廣韻』私也。『論語』吾無隱乎爾。《疏》孔子敎人無所隱惜。
又『玉篇』不見也。『易・繫辭』巽稱而隱。《註》稱揚命令、而百姓不知其由。『史記・韓安國傳』壷遂之深中隱厚。
又『禮・曲禮』不以隱疾。《註》隱疾、衣中之疾也。又『史記・秦始皇紀』隱宮徒𠛬者、七十餘萬人。《註》宮𠛬、一百日隱於隂室養之、故曰隱宮。
又『史記・滑稽傳』齊威王之時喜隱。『前漢・藝文志』隱書十八篇。《註》『劉向・別錄』云、隱書者、疑其言以相問、對者以慮思之、可以無不喩。
又『禮・玉藻』隱辟而後屨。《註》隱辟、俛逡巡而退著屨也。
又『爾雅・釋言』隱、占也。《註》隱度。《疏》占者、視兆以知吉凶、必先隱度。『禮・少儀』軍旅思險、隱情以虞。《註》隱、意也、思也。『後漢・安帝紀』隱親悉心、勿取浮華。《註》皆隱審盡心、勿取浮華不實者。
又『揚子・方言』隱、定也。
又『玉篇』安也。
又痛也。『詩・邶風』如有隱憂。《傳》痛也。『禮・檀弓』拜稽顙、哀戚之至隱也。稽顙、隱之甚也。『孟子』王若隱其無罪而就死地。『又』皆有怵惕惻隱之心。『前漢・韓安國傳』此仁人之所隱也。
又『左傳・昭二十五年』隱民皆取食焉。《註》隱約窮困。又『定三年』君以弄馬之故、隱君身。《註》隱、憂約也。『荀子・儒效篇』隱隱兮其恐人之不當也。《註》隱隱、憂戚貌。
又『司馬相如・上林賦』湛湛隱隱。《註》隱隱、盛貌。又『前漢・郊祀歌』休嘉砰隱溢四方。《註》砰隱、盛意。
又『左傳・襄二十三年』踰隱而待之。《註》隱、短牆也。
又『諡法』隱拂不成曰隱、不顯尸國曰隱、見美堅長曰隱。
又姓。『吳志』有廷尉左監隱蕃。
又『爾雅・釋草』蒡、隱葱。《註》似蘇、有毛、江東呼爲隱葱、藏以爲葅。
又『廣韻』『集韻』𠀤於靳切、音檼。『廣韻』隈隱之貌。
又『孟子』隱几而臥。《註》隱、倚也。於靳反。
又『集韻』築也。『前漢・賈山傳』厚築其外、隱以金椎。
又『集韻』於刃切、駰去聲。『禮・檀弓』旣葬而封、廣輪揜坎、其高可隱也。《註》隱、據也。封可手據、謂高四尺所。『釋文』隱、於刃反。
異體字
或體。
簡体字。
いはゆる新字体。
音訓
- 音
- (1) イン(漢) オン(呉) 〈『廣韻・上聲・隱・隱』於謹切〉
- (2) イン(漢) オン(呉) 〈『廣韻・去聲・焮・㒚』於靳切〉
- 訓
- (1) かくれる。かくす。かすか。いたむ。うれふ。しづか。おだやか。やすらか。
- (2) よる。たのむ。
解字
白川
形聲。聲符は㥯。㥯は呪具の工で神を鎭め匿す意。𨸏は神の陟降する神梯。その聖所に神を隱し齋ることをいふ。神聖を隱す意。
藤堂
阜(壁や土塀)と音符㥯の會意兼形聲。𤔌は爪(手)と工印と⺕(手)の會意字で、工形の物を上下の手で覆ひ隱すさまを表す。それに心を加へたのが㥯。隱は壁で隱して見えなくすることを表す。
漢字多功能字庫
𨸏に從ひ㥯聲。本義は隱蔽。『易・坤』天地變化、草木蕃、天地閉、賢人隱。
本義のほか、用義は以下のとほり。
- 隱瞞、隱し立てし誤魔化すこと。『論語・子路』
父為子隱、子為父隱、直在其中矣。
- 掩護すること。『左傳・文公十八年』
昔帝鴻氏有不才子、掩義隱賊、好行凶德。
楊伯峻注意謂掩蔽仁義、包庇姦賊。
- 微妙。『易・繫辭上』
探賾索隱、鉤深致遠。
- 隱棲すること、隱棲する人。『易・乾』
龍德而隱者也。
孔穎達疏聖人有龍德隱居者也。
北齊顏之推『顏氏家訓・歸心』儒有不屈王侯高尚其事、隱有讓王辭相避世山林。
- 憂ふこと、心配して悲しむこと、心配で心痛すること。『楚辭・九章・悲回風』
孰能思而不隱兮、照彭咸之所聞。
王逸注隱、憂也。
- 同情。『孟子・梁惠王上』
王若隱其無罪而就死地、則牛羊何擇焉。
趙岐注隱、痛也。
楊伯峻注哀痛、可憐。
- 査定すること。『管子・禁藏』
是故君子上觀絕理者以自恐也、下觀不及者以自隱也。
尹知章注隱、度也。
- 隱語、つまり謎語(なぞなぞ)を指す。『史記・滑稽列傳』
齊威王之時喜隱。
司馬貞索隱喜隱謂好隱語。
屬性
- 隱
- U+96B1
- JIS: 1-80-12
- 𨼆
- U+28F06
- 隐
- U+9690
- 隠
- U+96A0
- JIS: 1-17-3
- 當用漢字・常用漢字
関聯字
- 穩
- 説文解字(新附)は隱の省に從ふとし、漢字多功能字庫は隱の省聲に從ふとする。
- 檃
- 説文解字は隱の省聲に從ふとする。