高 - 漢字私註
説文解字
説文解字注
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
『廣韻』古勞切『集韻』『韻會』居勞切、𠀤音羔。〔音1〕『說文』崇也。象臺觀高之形。从冂口。與倉舍同意。『易・繫辭』𤰞高以𨻰、貴賤位矣。《註》高謂天體也。『又』崇高莫大乎富貴。
又『史記・高祖紀・註』張晏曰、禮諡法、無高以爲功、最高而爲漢帝之太祖、故特起名焉。
又地名。『前漢・地理志』沛郡高縣。
又姓。『史記・仲尼弟子傳』高柴。
又『集韻』『韻會』𠀤居号切、音誥。〔音2〕度高曰高。『左傳・隱元年「都城過百雉」・註』一雉之牆、長三丈、高一丈。『釋文』高、古報反。又如字。
又叶居侯切、音鉤。『柳宗元・柳評事墓銘』柳侯之分、在北爲高、充于史氏、世相重侯。
又叶居何切。『蘇黃門・嚴顏𥓓』相傳昔者嚴太守、刻石千歲字已譌。嚴顏生平吾不記、獨憶城破節最高。
『韻會』俗作髙。
異體字
『廣韻』『集韻』所載。
音訓義
- 音
- カウ(漢)(呉)⦅一⦆
- カウ(推)⦅二⦆
- ケイ(推)⦅三⦆
- 訓
- たかい⦅一⦆
- 官話
- gāo⦅一⦆
- 粤語
- gou1⦅一⦆
⦅一⦆
- 反切
- 『廣韻・下平聲・豪・髙』古勞切
- 『集韻・平聲三・𩫞第六・髙』居勞切
- 『五音集韻・中平聲卷第四・豪第十四・見一髙』古勞切
- 聲母
- 見(牙音・全清)
- 等呼
- 一
- 官話
- gāo
- 粤語
- gou1
- 日本語音
- カウ(漢)(呉)
- 訓
- たかい
- 義
- 上下の隔たりが大きい。高山。高樓。
- 上方の位置にある。高所。
- 上下の隔たりの大きさ。高さ。高度。
- 程度が優れる。等級が上位である。高位。高價。高等。
- 尊崇する。
- 釋
- 『廣韻』
髙: 上也、崇也、逺也、敬也。又姓。齊太公之後、食采於髙因氏焉、出渤海、漁陽、遼東、廣陵、河南五望。又漢複姓。髙堂氏、出泰山。古勞切。二十一。
- 『集韻』
髙: 居勞切。『說文』「崇也。像台觀髙之形。」又姓。亦州名。文三十四。
- 『康煕字典』上揭。
⦅二⦆
- 反切
- 『集韻・去聲下・号第三十七・[[sy:号#14904|誥』居号切
- 『五音集韻・去聲卷第十一・号第十四・見一誥』古到切
- 聲母
- 見(牙音・全清)
- 等呼
- 一
- 日本語音
- カウ(推)
- 釋
- 『集韻』
髙: 度髙曰髙。
- 『康煕字典』上揭。
⦅三⦆
- 反切
- 『集韻・去聲下・徑第四十六・濙』胡鎣切
- 聲母
- 匣(喉音・全濁)
- 等呼
- 四
- 日本語音
- ケイ(推)
- 釋
- 『集韻』
髙: 牆屋間狹徑也。
- 補註
- 『五音集韻・去聲卷第十二・徑第五・匣四濙』(胡鎣切)には高の冂の中の口を冂に替へる形に作る。釋は『集韻』に同じ。中國哲學書電子化計劃は䯧を當てるが、静韻、迥韻、勁韻で廎と竝べて示される䯧(髙の口を冋に替へる)とは形が異なる。
解字
白川
京の省文と口の會意。京は戰場の遺棄屍體を塗り込んで作つた凱旋門。そこで呪祝が行はれた。口はそのやうな祝詞を收める器の形。
本來は名詞で大觀の象。高明の神を招く所。卜文の圖象に、高の上に呪飾の標木を添へた形のものが多く、それは神の憑依するところとされた。それで高は神明のことに關して用ゐるのが原義であつた。
金文の《秦公𣪘》に高弘にして慶又り
とは祖德を譽める語。高祖、高祖妣などもその意。
のち、高大、高貴、高雅の意に用ゐる。
『説文解字』に高聲として十六字を收める。高形のものに、京、郭など建物の系統に屬するものと、蒿、毃、敲、膏など屍骨の形象に屬するものと二系あり、屍骨の系統に屬するものは胸骨より上の骨の形。故に薧(墓地)はその形に從ふ。塙は堅確の意で高を築作する意であらうが、翯に白の意があるのは、皜と同じくなほ屍骨の白の意を存するものであらう。
藤堂
象形。臺地に建てた高い建物を描いたもの。
また槁に通じて、乾いた意をも含む。
落合
二階建ての建築物の象形。あるいはそれに口を加へた會意字。口に替へて品を加へた形もあるので、口は建物に收める器物と考へるのが妥當。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 高楼。高い建物。《合集》6477
貞、王往于[主山]高。
- 遠い祖先。高祖や高妣などの呼稱もある。また王亥や河などの自然神を高祖と呼ぶ例もある。
- 《殷墟小屯中村南甲骨》58
癸丑貞、求禾于高、燎五牛。
- 《甲骨綴合集》11
甲子貞、求禾于高祖、辛未酒。
- 《殷墟小屯中村南甲骨》58
- 地名。《英國所藏甲骨集》2555
壬午卜貞、王田高、往來亡災。
髙の形が元の字形を良く殘す。高は東周代に現れた形。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は冂に從ふ。冂は地面より高い堂基の形で、高は臺基の上に建てられた樓觀に象り、本義は高い樓臺。崇高、高尚、高貴の高を派生する。
高い所から遠くを眺めることができるため、高にはまた遠の義がある。後に口を加へて京と區別する。一説に口は屋の下層の窗を象るといふ(孔廣居)。
甲骨文、金文での用義は次のとほり。
- 地名に用ゐる。
- 遠を表す。
- 《屯南》1102
高且(祖)
、史牆盤青(靜)幽高且(祖)
の「高祖」は遠祖のこと。 - 秦公簋
高引又(有)慶
(上揭)の引は長久の意、長遠(長い間)に吉慶福善があるの意。
- 《屯南》1102
- 金文では人名、地名に用ゐ、崇高の義を取るか。噩君啟舟節
高丘
。不詳だが、當該地は山が高くてその名を得たか。
漢帛書では高矮の高を表す。《馬王堆・老子甲本卷後古佚書》臺室則崇高、汙池則廣深。
又云故『詩』曰、「高丘之下、必有大峽。高臺之下、必有深池。」
屬性
- 高
- U+9AD8
- JIS: 1-25-66
- 當用漢字・常用漢字
- 髙
- U+9AD9
関聯字
高に從ふ字を漢字私註部別一覽・京部・高枝に蒐める。