夸 - 漢字私註

説文解字

夸

奢也。从聲。苦瓜切。

大部

説文解字注

夸

奢也。奢者、張也。曡韵同義。

从大夸聲。苦瓜切。古音在五部。

康煕字典

部・劃數
大部三劃

『廣韻』苦瓜切『集韻』『韻會』『正韻』枯瓜切、𠀤音誇。音1大也。『爾雅・釋言』夸毗、體柔也。『詩・大雅』無爲夸毗。

又『諡法』華言無實曰夸。

又苦瓦切、音恗。音4夸奓、自大也。『前漢・諸侯王表』夸州兼郡。『楊僕傳』懷銀黃夸鄕里。

又姓。

又『集韻』虧亏切、音區。音3奢也。

又『集韻』匈于切、音吁。音2美貌。

又『集韻』區遇切、音姁。音5巍也。『左思・吳都賦』橫塘查下、邑屋隆夸。長干延屬、飛甍舛互。

又苦禾切、音科。『陸機・感舊賦』或趨時以風發兮、或遺榮而媻娑。或沖虛以後已兮、或招世而自夸。

『說文』从大亏聲。亦作𡗢𧥢

部・劃數
大部三劃

『集韻』與同。

廣韻

卷・韻・小韻
下平聲
反切
苦𤓰切音1

奢也。

音訓義

クヮ(漢) クヱ(呉) コ(慣)⦅一⦆
⦅二⦆
⦅三⦆
クヮ⦅四⦆
ク(推)⦅五⦆
おほいにする⦅一⦆
おごる⦅一⦆⦅三⦆⦅五⦆
ほこる⦅四⦆
官話
kuā⦅一⦆
粤語
kwaa1⦅一⦆

⦅一⦆

反切
廣韻・下平聲』苦𤓰切廣韻1, 康煕1
集韻・平聲三麻第九』枯𤓰切
『五音集韻・中平聲卷第四・麻第十七・溪・二誇』苦𤓰切
聲母
溪(牙音・次清)
等呼
官話
kuā
粤語
kwaa1
日本語音
クヮ(漢)
クヱ(呉)
コ(慣)
おほいにする
おごる
誇張すること。
夸毗は、人に諂ひ從ふこと。

⦅二⦆

反切
集韻・平聲二・虞第十・訏』匈于切康煕2
『五音集韻・上平聲卷第二・虞第八・曉・三訏』匈于切
聲母
曉(喉音・全清)
等呼
日本語音
姱に同じく、美しいさま。

⦅三⦆

反切
集韻・平聲二・虞第十・區』虧于切康煕3
『五音集韻・上平聲卷第二・虞第八・溪・切三區』豈俱切
聲母
溪(牙音・次清)
等呼
日本語音
おごる

⦅四⦆

反切
集韻・上聲下馬第三十五』苦瓦切
『五音集韻・上聲卷第八・馬第十七・溪・二髁』苦瓦切
『康煕字典』苦瓦切康煕4
聲母
溪(牙音・次清)
等呼
日本語音
クヮ
ほこる
夸𡗸、自大。(『集韻』)
夸奓、自大也。(『康煕字典』)

⦅五⦆

反切
集韻・去聲上・遇第十・驅』區遇切康煕5
『五音集韻・去聲卷第十・遇第八・溪・三驅』區遇切
聲母
溪(牙音・次清)
等呼
日本語音
ク(推)
おごる

解字

白川

の會意。

金文の圖象に、大と⿰干弓に從ふ形のものがある。金文の⿰干弓は弓幹を正すための當て木を弓に加へた形で、張大の意がある。

呂覽・下賢』に富有天下而不騁夸(富は天下をたもつも、騁夸せず)とあり、驕誇の意。夸は胯の初文。跨越して誇る意がある。

藤堂

と音符の會意兼形聲。亏は大きく曲がつた姿を示し、大きい意を含む。

落合

甲骨文は、の會意、于亦聲。跨の初文。人が足を擴げて跨がつてゐる樣子を表す。異體字に人が人の頭上を跨いでゐる形がある。

甲骨文では地名に用ゐる。養蠶が行はれたやうである。また、殷金文では圖象記號としても使はれてゐる。《合集》4813丁巳卜賓貞、呼引宓、蠶夸(跨)弗桑。

字形は篆文で于が異體の亏になり夸の形となつた。

後代に轉じて「おごり高ぶる」の意で用ゐられるやうになつた。原義を表すため篆文で意符にを加へた繁文の跨がつくられた。

漢字多功能字庫

甲骨文、金文はに從ひ聲。六國文字で于がに變形し、あるいは飾筆を加へて亏につくる。故に篆文は大に從ひ亏聲につくる。本義は樂聲を大きくすること。後に奢侈の意を派生し、今またの簡体字となす。

卜辭では人名に用ゐられてゐると疑はれる。《合集》4813(上揭)に見える。

金文では人名に用ゐる。伯夸父盨夸父作寶盨

簡帛文字での用義は次のとほり。

古書での用義は次のとほり。

古詩では讚美の意に用ゐる。皮日休『惜義鳥』吾聞鳳之貴、仁義亦足夸

屬性

U+5938
JIS: 1-52-82
夸󠄂
U+5938 U+E0102
MJ009469
𡗢
U+215E2

関聯字

夸に從ふ字を漢字私註部別一覽・大部・夸枝に蒐める。