丂 - 漢字私註
説文解字
气欲舒出。㇉上礙於一也。丂、古文以爲亏字、又以爲巧字。凡丂之屬皆从丂。苦浩切。
- 五・丂部
説文解字注
气欲舒出㇉上礙於一也。㇉者、气欲舒出之象。一其上不能徑達。此釋字義而字形巳見。故不別言形也。苦浩切。古音在三部。丂、古文㠯爲亏字。亏與丂音不同而字形相似、字義相近。故古文或以丂爲亏。又㠯爲巧字。此則同音假借。凡丂之屬皆从丂。
康煕字典
- 部・劃數
- 一部(一劃)
『唐韻』『集韻』𠀤苦浩切、音考。『說文』氣欲舒出、𠃑上礙於一也。
又『玉篇』古文巧字。註詳工部二畫。
音訓
- 音
- カウ(漢) 〈『廣韻・上聲・晧・考』苦浩切〉[kǎo]{haau2}
- カウ(漢) [qiǎo]
官話のkǎoは考と、qiǎoは巧と同音。なほ粤語ではいづれも同音の模樣。
解字
白川
象形。曲刀の形に象る。夸の下部と同じ。ものを刳り取る曲刀で、巧、攷などはその形に從ふ。
亏もまた曲刀の形。丂、亏のいづれも『説文解字』のいふ「气」とは關係ない。
金文に「皇考」を「皇丂」に作るのは、假借の用法。
甹や寧の從ふところは、曲刀の丂ではなく、ものを置く高い臺の形。丂の聲義とは關係がない。
藤堂
指示。伸びようとするものが一印につかへて曲がることを示す。つかへて曲がる意を含む。
金文では壽考の考に用ゐてゐる。
落合
象形。祭祀机である示の脚を歪めた形。甲骨文には單獨では原義での用例がない。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 地名。《合集》36777
…卜在丂…王步于…亡災。
- 祭祀名。《殷墟小屯中村南甲骨》462
壬午卜、燎鬯上戊、丂。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は、木の枝の形に象り、柯の象形初文。考や可などは丂に從ふ。考字は老人が手に丂(拐杖)を持つさまを象り、丂は考の義符でありまた聲符である。
甲骨文では地名に用ゐる。
金文での用義は次のとほり。
- 音が近い考と通じ、先父を表す。陳逆簠
皇丂(考)皇母
。 - 借りて孝となす。鄀公鼎
用追亯丂(孝)于皇且(祖)考
。 - 人名に用ゐる。
戰國竹簡では讀んで巧となす。《上博楚竹書三・恆先》利丂(巧)
。
『玉篇』丂、古文巧字。
屬性
- 丂
- U+4E02
- JIS: 2-1-2
関聯字
丂に從ふ字を漢字私註部別一覽・丂部に蒐める。