魯 - 漢字私註
説文解字
鈍詞也。从白鮺省聲。『論語』曰、參也魯。郎古切。
- 四・𪞶部
説文解字注
鈍䛐也。孔注『論語』曰、魯、鈍也。『左傳』魯人以爲敏。謂鈍人也。『釋名』曰、魯、魯鈍也。國多山水、民性樸鈍。按椎魯、鹵莽皆卽此。从白魚聲。各本作鮺省聲。按鮺从差省聲。在古音十七部。今之歌麻韵。魯字古今音皆在五部。𧀦櫓字用爲龤聲。古文以旅爲魯。則鮺爲淺人妄改也。今正。郞古切。五部。『論語』曰、參也魯。『先進』篇文。
康煕字典
- 部・劃數
- 魚部四劃
- 古文
- 𣥐
『廣韻』『正韻』郞古切『集韻』『韻會』籠五切、𠀤音虜。『說文』鈍詞也。『論語』參也魯。《何晏註》魯、鈍也。曾子性遲鈍。
又國名。『詩・魯頌譜』魯者、少昊摯之墟也。『前漢・地理志』周興、以少昊之虛曲阜封周公子伯禽爲魯侯、以爲周公主。『釋名』魯、魯鈍也。國多山水、民性樸魯也。
又姓。『廣韻』伯禽之後、以國爲姓、出扶風。又複姓有魯步氏。
又『集韻』旅、古作魯。註詳方部六畫。
異體字
簡体字。
音訓
- 音
- ロ(漢) 〈『廣韻・上聲・姥・魯』郎古切〉[lǔ]{lou5}
- 訓
- おろか(魯鈍)
解字
白川
魚と曰の會意。曰は祝禱を收める器。魚を薦め、祝禱する儀禮を示す字。
『説文解字』に鈍詞なり。白に從ひ、魚聲。
とするが聲が合はず、「鈍詞」といふ意も明らかではない。恐らく魯鈍の意とするものであらう。
しかし、金文には魯休、魯命、純魯、魯壽など、嘉善の意に用ゐる字。《𬊇𣪘》拜して稽首し、天子の厥の順福を造したまへるを魯びとす
、《井人鐘》賁純にして以て魯いなり
、《士父鐘》余に魯ひを降し、多福無疆ならんことを
などの用法がある。
祖祭に魚を用ゐることは辟雍の儀禮に見え、魯とは祖祭に關する儀禮をいふ字であらう。
魯鈍の意は、朴魯の義から轉じたものとみられ、もとは純魯をいふ字であつたと考へられる。
藤堂
魚(鈍い動物の代表)と曰(物言ふ)の會意。言行が魚のやうに大まかで間拔けであること。
落合
會意。魚と口に從ひ魚亦聲。甲骨文では祭祀名として用ゐられてをり、字源は器の上に魚を置いた儀禮の樣子であらう。上古音では魚、魯は同部であり、魚は亦聲符と推定される。純粹な形聲字とする説もある。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 祭祀名。《合集》10132
乙丑卜古貞、婦妌魯于黍年。
- 吉凶語。吉の意。《合集》10133
王占曰、吉、魯。
- 人名。第一期(武丁代)。《合集》22102
壬午卜、魯不其嘉。五月。
- 圃魯
- 地名。圃魚ともいふ。
字形は下部が金文で甘となり、篆文で白となり、漢隸で曰となつた。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は、口と魚に從ひ、魚亦聲。魚は美味である意と解く。本義は美味なること。一説に魯はもと美好の意で、口は器皿の形に象ると解け、器皿に魚を盛る意といふ(于省吾、沈培)。胡澱咸、姚孝遂は、口は分化の符號で、魯字は魚に口を加へて分化した字とする。
後期金文で口中に點を加へ、甘に變形した。魚尾と口が相連なり、小篆は魚と白に從ふ形に變形した。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 地名に用ゐる。《合集》9979
魯受黍[年]
は、魯の地で黍が良く穫れるの意。 - 美好(美しい、素晴らしい)を表す。《合集》10133反
吉魯
。
金文での用義は次のとほり。
- 美好を表す。
- 史叀鼎
屯(純)魯、魯令(命)
。純は厚い、大きいの意。一つ目の魯は美好から轉じて福祐の意で、嘏(幸ひ)と同源の言葉。二つ目の魯は美好、嘉美の意を表し、句全體では厚福、嘉命の意。 - 伯姜鼎
受天子魯休
は、天子の素晴らしい庇護を受けるの意。
- 史叀鼎
- 地名、國名に用ゐる。
戰國竹簡での用義は次のとほり。
- 美好を表す。《清華簡一・皇門》簡4
王用能承天之魯命
は、周王は能く天の嘉命を受け繼ぐ、の意。 - 國名に用ゐる。
- 《清華簡二・繫年》簡70-71
齊頃公圍魯、魯臧孫許蹠晉求援。駒之克率𠂤(師)救魯。
- 《郭店簡・魯穆公問子思》簡1
魯穆公昏(問)於子思
。
- 《清華簡二・繫年》簡70-71
屬性
- 魯
- U+9B6F
- JIS: 1-47-5
- 人名用漢字
- 鲁
- U+9C81
關聯字
魯聲の字
- 𧀦
- 櫓