雈 - 漢字私註

説文解字

: 𨾦屬。𨾦、𨿠也。『〔爾雅〕釋鳥』雈老兔。郭云、木兔也。似鴟鵂而小、兔頭。从隹从𦫳。有毛角。說从𦫳之意。毛角者、首有蔟毛如角也。所鳴其民有旤。凡雈之屬皆从雈。讀若和。當若桓。云若和者、合韵也。𦼉葦字以爲聲。胡官切。十四部。

艸部八劃萑字條に鳥名、鴟屬。字从𦫳。詳隹部。とするが、隹部に該當箇所は見えず。

木兔鳥也。

藤堂は平聲寒韻とし、漢音呉音唐音の別を示さず。

象形。毛角のある鳥の形に象る。

『説文解字』に鴟の屬なり。隹に從ひ、𦫳に從ふ。毛角有り、鳴く所、其の民に旤(禍)有り。讀みて和の若ごとくす。とあり、木菟みみづくをいふ。『爾雅・釋鳥』に老鵵なりといふ。

ただ字の聲からいふと雚をいふ字かと思はれ、雚は雈に目を加へた形の字。

艸部の萑は草名。雈とは別の字。

象形。みみづくの姿を描いた字。

雈は冠羽を持つ鳥の姿に象る。雚はそれに二つの口を加へた會意の字體。甲骨文では、雈、雚は、觀の意味に用ゐられてゐる。

雚を鸛の初文とする説もあるが、鸛こふのとりには目立つた冠羽はないので、元は鷺さぎや朱鷺ときなど別の鳥の象形であらう。

甲骨文は梟の類に象り、目の上の左右二つのアーチ型に集まつた毛を強調してゐる。雈と雚はもとは一字。雈に聲符の吅を加へて雚となつた。『說文』雈、鴟屬。从隹从𠁥、有毛角。段玉裁注毛角者、首有蔟毛如角也。

梟はまた「鴟鵂」、「鴟鴞」、「鴟梟」と稱し、古人はその聲を聞いた人は災ひに遭ふ怪鳥であると考へてゐた。『爾雅』怪鴟、郭璞注今江東通呼此屬為怪鳥。『廣雅』鴟鵂、怪鴟也。王念孫疏證怪鴟頭似貓而夜飛、今揚州人謂之夜貓。

甲骨文での用義は次のとほり。