般 - 漢字私註

説文解字

般
辟也。象舟之旋。从。殳、所以旋也。
舟部
𦨗
古文般从支。

説文解字注

般
辟也。《人部》僻下曰、辟也。此辟字義同。『〔禮記〕投壺』曰、賓再拜受。主人般旋曰、辟。主人阼階上拜送。賓般旋曰、辟。般、步干反。還音旋。辟、徐扶亦反。『論語包氏注』足躩如、盤辟皃也。盤當作般。般辟、漢人語。謂退縮旋轉之皃也。『〔儀禮〕大射儀』賓辟《注》曰、辟、逡遁不敢當盛。『〔爾雅〕釋言』曰、般、還也。還者今之環字。旋也。『荀爽注易』曰、盤桓者、動而退也。般之本義如是。引伸爲般遊、般樂。象舟之旋。說从舟之意。从舟从殳。會意。殳、令舟旋者也。『韵會』作命。說從殳之意。殳謂所以刺船者也。北潘切。按當云薄官切。十四部。
𦨗
古文般从各本作从支。誤。今正。从攴猶从殳也。

康煕字典

部・劃數
舟部四劃
古文
𦨗

『唐韻』北潘切『集韻』『韻會』『正韻』逋潘切、𠀤音𤳗。『說文』辟也。象舟之旋、从舟从殳。殳、所以旋也。

又『廣韻』般運。『集韻』移也。

又『集韻』數別之名。

又『廣韻』布還切『集韻』『韻會』『正韻』逋還切。𠀤與同。『爾雅・釋言』般、還也。《疏》般、還反也。『前漢・趙充國傳』明主般師罷兵。《註》鄧展曰、般、音班。班、還也。又『賈誼傳』般紛紛其離此鄕兮。《註》般、音班。般、反也。

又分也、賜也。『揚子・太玄經』建侯開國、渙爵般秩。

又布也。『前漢・郊祀歌』先以雨般裔裔。《註》般與班同。布也。

又人名。『前漢・古今人表』公輸般。『張衡・西京賦』命般爾之巧匠。《註》般、魯般。魯哀公時巧人。

又與同。『禮・內則』馬黑脊而般臂漏。《註》般臂、前脛般般然也。『周禮・天官・內饔註』般臂、臂毛有文。

又獸名。『揚雄・羽獵賦』屨般首。《註》屨、謂以足蹈之也。又『史記・司馬相如傳』般般之獸、樂我君囿。《註》謂騶虞也。

又『廣韻』薄官切『集韻』『韻會』『正韻』蒲官切、𠀤音盤。『玉篇』大船也。

又與盤同。盤庚『周語』作般庚。

又『博雅』般桓、不進也。

又般還。『禮・投壷』主人般還曰辟。《疏》主人見賓之拜、乃般曲折還、謂賓曰、今辟而不敢受。亦作般旋。『抱朴子・廣譬卷』般旋之儀、見憎於祼踞之鄕。

又『爾雅・釋詁』般、樂也。《疏》般者、遊樂也。『揚子・太玄經』大樂無閒、民神禽鳥之般。《註》般、樂也。『張衡・思玄賦』惟般逸之無斁兮。

又『博雅』般、行也。『又』任也。

又與槃同。『莊子・田子方』公使人視之、則解衣般礴。《註》般、字又作槃。般礴、謂其坐也。

又『詩・周頌』篇名。

又地名。『前漢・地理志』濟南郡般陽縣。

又水名。『山海經』沂山、般水出焉、而東流注于河。

又與同。『穀梁傳・桓三年』諸母般申之曰、謹愼從爾父母之言。《註》般、囊也。所以盛朝夕所須、以備舅姑之用。《疏》男子般革、婦人般絲、所以盛帨巾之屬、爲謹敬也。

又與磐同。『前漢・郊祀志』乾稱飛龍、鴻斬于般。《註》孟康曰、般、水涯堆也。師古曰、般、山石之安者。

又『集韻』『韻會』𠀤補滿切、音粄。漢縣名。今在齊州地。『前漢・地理志』平原般縣。《註》韋音逋坦反。師古曰、【爾雅】九河一曰鉤般。郭璞云、水曲如鉤、流般桓也。然今其土俗如韋音。

又『集韻』一曰面平貌。

又『正字通』音缽。梵言般若、華言智慧。若、音惹。

又蒲先切、音駢。『張衡・西京賦』蚩尤秉鉞、奮鬣被般。禁禦不若、以知神姦。魑魅罔兩、莫能逢旃。

部・劃數
舟部四劃

『說文』古文字。註詳四畫。

音訓

(1) ハン(漢) 〈『廣韻・上平聲・桓・槃』薄官切〉[pán]{pun4}
(2) ハン(漢) 〈『廣韻・上平聲・桓・𤳖』北潘切〉[bān]{bun1}
(3) ハン(漢) 〈『廣韻・上平聲・刪・班』布還切〉[bān]{bun1}
(4) ハン(慣) ハツ 〈『正字通』音缽〉[bō]{bo1/but3}
(1) たのしむ(般遊、般樂)。めぐる(般還)。
(2) めぐる。うつす。はこぶ。
(3) わかつ。かへす(般師)。かへる。

音(4)は般若など梵語の音寫に用ゐる。

解字

白川

の會意。舟は盤の象形。殳は盤中のものをむ形とも、盤を擊つ形とも見られるが、𬆩、などの字から考へると、盤を擊つて般樂する(樂しむ)意であらう。

『説文解字』にくるなり。舟のめぐるに象る。舟に從ひ、殳に從ふ。殳は舟をして旋らしむる者なり。(段注本)といふ。

舟は盤の形で、盤で運ぶことを運搬、そのやうに身をめぐらすことを般旋、盤を鼓樂して遊ぶことを般樂といふ。

卜文の字形に、祝詞の器の形を加へてゐるものがあり、祭事に用ゐた。

《段注》に殳を船を刺す所以の者を謂ふなりと舟楫を操る義とするのは、《繫傳》に殳は檝の屬なりといふのによる。

『書』の盤庚を卜文に般庚に作り、が盤の初文であることが知られる。

藤堂

偏は舟の形ではない。(動詞の記號)と板の形の會意で、板のやうに、平らに擴げることを表す。のち、と殳に從ふ形に書くやうになつた。

落合

盤の甲骨文は、凡とに從ふ會意字で、般に當たる。

漢字多功能字庫

甲骨文は凡とに從ふ。凡は橫に立てた盥の形(補註: 凡字條に、盥の底に象つて短く、右は盥の口に象つて長く彎曲すると説く)に象り、槃、盤の象形初文。後にを加へる。金文は誤つてに從ふ。盥の義は後に槃や盤で表す。郭沫若は字當作[凡攴]、譌變而為从舟从殳、而杯槃字乃益之以木作槃、或益之以冊作盤。といふ。

甲骨文では人名に用ゐる。

金文での用義は次のとほり。

般は古書ではまた、「般旋」、「般桓」など、旋轉を表す。『禮記・投壺』賓再拜受、主人般還曰、辟。孔穎達疏主人見賓之拜、乃般曲折還、謂賓曰、今辟而不敢受。言此者、欲止賓之拜也。

「般還」は古人が拜を受くるとき後退りし身を轉じて謙讓を表す動作を指す。『文選・賈誼・弔屈原文』般紛紛其離此尤兮、亦夫子之故也。李善注言般桓不去、離此愆尤、亦夫子自為之故、不可尤人也。

と通じ、頒發(發布、公布、授與)、分發を表す。『墨子・尚賢中』古者聖王唯毋得賢人而使之、般爵以貴之、裂地以封之、終身不厭。

また分布を表す。『漢書・禮樂志』靈之來、神哉沛、先以雨、般裔裔。顏師古注般讀與班同。班、布也。

また回、還を表す。『漢書・趙充國傳』而明主般師罷兵、萬人留田、順天時、因地利、以待可勝之虜。

運搬、運送を表し、後に搬に作る。『玉篇・舟部』般、運也。

量詞となし、種類を表す。

相同じ、一樣なることを表す。

屬性

U+822C
JIS: 1-40-44
當用漢字・常用漢字
𦨗
U+26A17