磬 - 漢字私註
説文解字
樂石也。从石、殸。象縣虡之形。殳、擊之也。古者母句氏作磬。苦定切。
- 九・石部
籒文省。
古文从巠。
説文解字注
石樂也。石樂各本作樂石。誤。今正。樂下云、五聲八音總名也。瑟下云、弦樂也。簫、䶵下皆云、管樂也。則此當云石樂信矣。匡謬正俗所引已作樂石。其誤已久。或疑樂石字見《秦繹山刻石》。不知與此無涉也。彼謂可樂之石。此謂製石之樂。『白虎通〔禮樂〕』曰、磬者、夷則之氣也。从石。句。𡔝象縣虡之形。各本𡔝作殸、上屬。今正。豈下云、陳樂立而上見也。从屮。此从屮謂虡之上出可見者、崇牙樹羽是也。一象栒之橫。丨象虡之植。[反匚+口]象編磬係焉也。或曰[反匚+口]象磬之股。丨象磬之𡔷。磬之懸、股橫出而𡔷直。凡言磬折者取象於此。程氏瑤田通藝錄言之詳矣。殳所㠯擊之也。所以二字今補。說从殳之意。磬从石殳會意。而又象其形也。苦定切。十一部。古者毋句氏作磬。毋各本作母。今正。『〔禮記〕明堂位・注』引『世本』作曰、無句作磬。『風俗通〔聲音・ 磬〕』『山海經・注』『廣雅』皆作毋句。古無毋通。句其俱反。
籒文省。非籒省篆。乃篆加籒也。
古文从巠。各本篆體誤。今依汗𥳑正。『〔禮記〕樂記』曰、石聲磬、磬以立辨。『史記・樂書』作、石聲硜、硜以立別。葢硜本古文磬字。後以爲堅确之意。是所謂古今字。『論語〔憲問〕』子擊磬於衞。下文、旣而曰、鄙哉硜硜乎。亦不以爲一字。要之『論語』非不可作鄙哉磬磬也。『釋名』曰、磬者、磬也。其聲磬磬然堅緻也。
- 『釋名・釋樂器』には
磬、罄也、其聲罄罄然堅緻也。
とある。 - 別條に揭出する。
康煕字典
- 部・劃數
- 石部・十一劃
- 古文
- 硜
- 𡔝
- 𥓕
『唐韻』苦定切『集韻』『韻會』詰定切、𠀤音罄。『說文』樂石也。籀文作殸、象縣虡之形、殳擊之也。『五經要義』磬立秋之樂。『白虎通』磬者、夷則之氣、象萬物之成。『禮・明堂位』叔之離磬。《註》叔之離磬者、叔之所作編離之磬。又『周禮・冬官考工記』磬氏爲磬、倨句一矩有半。《註》先度一矩爲句、一矩爲股、而求其弦。旣而以一矩有半觸其弦、則磬之倨句也。
又編磬、特磬。『𨻰用之曰』叔之離磬、特懸之磬也。『三禮圖』股廣三寸、長尺三寸半、十六枚同一筍虡、謂之編磬。
又笙磬、頌磬。『周禮・春官・眡瞭』掌凡樂擊頌磬笙磬。《註》磬在東方曰笙。笙、生也。在西方曰頌。或作庸。庸、功也。
又玉磬、石磬。『書・益稷』戛擊鳴球。『禮・明堂位』拊搏玉磬。『左傳・成二年』齊侯使賔媚人、賂以紀甗玉磬。『魯語』臧文仲以玉磬如齊告糴。『禮・樂記』石聲磬磬以立辨。『書・禹貢』泗濵浮磬。《傳》泗水中見石、可以爲磬。𨻰澔曰、玉磬、天子樂器。諸侯當擊石磬、故郊特牲以擊玉磬爲諸侯之僭禮。
又磬控。『詩・鄭風』抑磬控忌。《註》騁馬曰磬、謂使之曲折如磬。止馬曰控、謂有所控制不逸。
又磬折。『禮・曲禮』立則磬折垂佩。《疏》帶佩於兩邊、臣則身宜僂折如磬之背、故云磬折。『周禮・冬官考工記』韗人倨句磬折。《註》磬折、中曲之不參正也。
又『禮・文王世子』磬于甸人。《註》縊之如縣樂器之磬也。
又掉磬。『韻會』齊人相絞訐爲掉磬、北海人以激事爲掉磬。
又與罄通、垂盡也。『魯語』室如縣磬。『左傳』作縣罄。
又『集韻』棄挺切、音謦。擊石聲。
又叶苦丁切、音卿。『董京・答孫楚詩』鸚鵡能言、泗濵浮磬。衆人所翫、豈合物情。
- 部・劃數
- 石部・八劃
『正字通』古文磬字。註詳十一畫。
- 部・劃數
- 士部・四劃
『六書正譌』古文磬字。註詳石部十一畫。
- 部・劃數
- 殳部・七劃
『唐韻』苦定切『集韻』詰定切、𠀤音罄。『說文』磬、籀文省作殸。
又『玉篇』口耕切『廣韻』口莖切、𠀤音鏗。敵也。
又『集韻』聲古作殸。註詳耳部十一畫。
音訓
- 音
- ケイ(漢) 〈『廣韻・去聲・徑・罄』苦定切〉[qìng]{hing3}
- 訓
- うちいし。くびる。
解字
白川
形聲。聲符は殸。声は磬の象形でその初文。これを鼓つ形は殸、その石は磬。
『説文解字』に樂石なり
とし、殸は虡に縣くるの形に象る。殳は之れを擊つなり。
といひ、重文として巠聲の字を錄する。
『詩・商頌・那』に既和且平、依我磬聲。
(既に和し且つ平なるは、我が磬聲に依る)とあつて、磬は神人相和する樂に用ゐる。
藤堂
殸は、^型の石を紐でぶら下げ、棒を手にして叩くさまを表す會意字。磬は、更に石を添へた、石と音符殸の會意兼形聲。
落合
聲の或體(字形は殸に當たる)から分化した字。篆文で意符として石が加へられた。
漢字多功能字庫
甲骨文は石と糸と殳に從ふ。磬は石で作られた樂器で、故に石で以てこれを象る。石の上は糸の省で、磬石を懸ける繩に象る。
甲骨文は石と糸と殳に從ひ、隸定形は殸。声は實は石と糸の形よりなる。『説文解字』の籀文に同じ。古く石を懸けて磬となし、故に磬を石樂と稱す。殷墟から出土した磬が多くあり、いづれも石製で、形もまた石の甲骨文に近い(參: 姚孝遂、趙誠)。殳は手に棍棒あるいは槌(あるいは枹)を持つさまに象り、故に磬字は、手に槌(枹)を持ち、吊された磬石を敲くさまに象る。殸は磬の初文。甲骨文、金文はみな殸に作り、石は後に加へられた。甲骨文では地名あるいは方國名に用ゐる。
金文は字書が多く收めず、學界はこの字についていまだに確論を有しない。商器を調べるとこの形があり、甲骨文と構形がごく近いが、僅かに變異がある。殳と糸に從ひ、懸ける繩に象る糸の下に二線が引かれ、磬石もまた方形となつてゐて、凡の形に近い。字は磬を敲く形に象る。西周晚期の師□簋に殸と似た形があり、《殷周金文集成》は磬と釋する。金文では族徽に用ゐ、また本義に用ゐて樂器を表す。師□簋錫(賜)鐘一、(殸)磬五
。
屬性
- 磬
- U+78EC
- JIS: 1-66-94
- 𥓕
- U+254D5
- 𡔝
- U+2151D
- 殸
- U+6BB8
- JIS X 0212: 38-16