䇂 - 漢字私註
説文解字
辠也。从干、𠄞。𠄞、古文上字。凡䇂之屬皆从䇂。讀若愆。張林說。
- 三・䇂部
康煕字典
- 部・劃數
- 立部(一劃)
『玉篇』綺虔切『集韻』『類篇』丘閑切、𠀤音愆。罪也。
- 部・劃數
- 辛部(零劃)
『廣韻』去虔切『集韻』『韻會』丘虔切『正韻』苦堅切、𠀤音愆。『說文』䇂、辠也。讀若愆。○按『玉篇』本作䇂。註詳立部一畫。
『正字通』【字彙】音愆、辠也。引『說文』从干从二。二、古文上。又云、此字與辛相似、但以畫之長短辯耳。按『說文』訓辭未詳、據篆形推之、辛七畫與𨐌八畫、多寡不似、非以上下畫短長分也。趙古則曰、从干犯上、是其辠也。會意。今用愆、籀作諐、俗作𠍴、非。此合愆、諐與𨐋爲一也。魏校曰、从干从上、有犯於上、未麗於法、𨐋愆音同、義小異。愆、踰禮也。𨐋、犯法也。此分𨐋與愆爲二也。『說文』愆、過也。䇂、辠也、讀若愆。魏氏與『說文』同、然考經史𠀤作愆。正韻十一先、收愆、諐闕𨐋、𨐋與愆音義通、趙說近是。
音訓
- 音
- ケン(漢、呉) 〈『廣韻・下平聲・仙・愆』去乾切〉
- 訓
- つみ
解字
白川
象形。把手のある大きな曲刀の形を象る。
卜文は𬔖につくり、上は把手、下は曲刀の刃部。これを以て肉を切り、肉刑を加へるので、辟、辥の初形は、もと𬔖に從ふ字であつた。
藤堂
辛を少し變へた象形字。鋭い刃物を表す圖形により、刑を受ける罪を暗示させる。
落合
刃物の象形。異體字に𬔖の形がある。
辟では下部が刃先とされてゐるが、鍔をつけた表現の異體字や、撲の初文では、上部を刃先とする表現がとられてをり、いづれが刃先かは殷代にも見解の相違があつた模樣。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 地名またはその長。第一期(武丁代)には敵對する記述もある。《東京大學東洋文化研究所藏甲骨文字・圖版篇》413
貞、勿呼䇂。
- 祭祀名。《屯南》1122
䇂伊尹、眔酒十[⿱冖羊]。
- 厄災の意。詳細は不明。《合集》13845
貞、[⿰攵攵]䇂、惟疾。
漢字多功能字庫
甲骨文は鎌の類を象り、乂の初文(裘錫圭)。『爾雅・釋詁』に乂、治也。
とあり、治理の義を派生する。
甲骨文、金文の、䇂、辛は形が近く、縱劃の曲直に違ひがある。曲がつてゐるものが䇂、眞つ直ぐなものが辛である。
甲骨文では人名、地名に用ゐる。金文では單字の䇂は見えないが、偏旁に用ゐるものはある。
屬性
- 䇂
- U+41C2
- 𨐋
- U+2840B
関聯字
䇂に從ふ字
- 𠱫
- 童
- 妾
- 辟