長 - 漢字私註
説文解字
- 註1
- あるいは𠤎。《段注》は下記のとほり𠤎(呼霸切)とする。
説文解字注
久遠也。久者、不暫也。遠者、不近也。引伸之爲滋長、長幼之長。今音知丈切。又爲多餘之長、度長之長、皆今音直亮切。兄下曰、長也。是滋長、長幼之長也。
从兀从𠤎。會意。𠤎、呼霸切。亾聲。二字各本在變𠤎之下。今依『韵會』正。直良切。十部。兀者、高遠意也。說从兀之意。《儿部》曰、兀者、高而上平也。久則變𠤎。𠤎各本作化。今正。說从𠤎之意。𠤎下曰、變也。者、到亾也。到各本作倒。今正。說卽亾字。亾而倒。變𠤎之意。
凡長之屬皆从長。
古文長。
亦古文長。
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
- 古文
- 镸
- 𨱗
- 𠤐
- 𠑷
- 𠔊
- 𠑻
- 𠑿
- 𡕣
『唐韻』『集韻』直良切『正韻』仲良切、𠀤音場。『增韻』短之對也。『孟子』今交九尺四寸以長。『前漢・田橫傳』尺有所短、寸有所長。
又久也。『詩・商頌』濬哲維商、長發其祥。《箋》長、猶久也。『老子・道德經』天地所以能長且久者、以其不自生、故能長生。
又遠也。『詩・魯頌』順彼長道、屈此羣醜。《箋》長、遠也。『古詩』道路阻且長。
又常也。『陶潛・歸去來辭』門雖設而長關。『李商隱詩』風雲長爲護儲胥。
又大也。『世說新語補』願乗長風、破萬里浪。
又善也。『晉書・樂廣傳』論人必先稱其所長。『唐書・韓琬傳』文藝優長。
又『博雅』長、挾也。
又『吳語』孤敢不順從君命、長弟許諾。《註》長弟、猶云先後也。
又星名。『博雅』太白謂之長庚。『詩・小雅』東有啓明、西有長庚。《傳》日旦出、謂明星爲啓明。日旣入、謂明星爲長庚。
又宮名。『班固・西都賦』北彌明光而亙長樂。『謝朓・怨情詩』掖庭聘絕國、長門失歡宴。《註》長門、漢𨻰皇后所居。
又地名。『玉海』長安、本關中地、西漢建都于此、後因謂天子所都爲長安。
又山名。『說林』公見東陽長山、曰、何其坦迤。『金史・禮志』有司言、長白山在興王之地、禮合尊崇。
又國名。『山海經』有鹽長之國。
又獸名。『山海經』有獸焉、其狀如禺、而四耳、其名長右。
又草名。『爾雅・釋草』長楚、銚芅。《疏》長楚、一名銚芅。
又姓。『左傳・僖二十八年』甯子先長牂守門。《註》長牂、衞大夫。又仲長、複姓。
又長乗、神名。『山海經・郭璞贊』九德之氣、是生長乗。人狀犳尾、其神則凝。妙物自潛、世無得稱。
又『韻會』『正韻』𠀤展兩切、音掌。孟也。『易・乾卦』元者、善之長也。《疏》元爲施生之宗、故言元者善之長也。『戰國策』君長齊奚以薛爲。《註》長、雄長之長。
又齒高也。『書・伊訓』立愛惟親、立敬惟長。『禮・曲禮』年長以倍、則父事之。十年以長、則兄事之。五年以長、則肩隨之。
又位高也。『書・益稷』外薄四海、咸建五長。《傳》言至海諸侯五國、立賢者一人爲方伯、謂之五長、以相統治。『釋文』五長、衆官之長。
又『周禮・天官・大宰』乃施則于都鄙、而建其長。《註》長謂公卿大夫、王子弟之食采邑者。
又進也。『易・泰卦』君子道長、小人道消也。
又生長也。『孟子』苟得其養、無物不長。
又長養之也。『前漢・董仲舒傳』陽常居大夏、而以生育養長爲事。
又『詩・大雅』克明克類、克長克君。《箋》敎誨不倦曰長。
又官名。『左傳・襄十一年』秦庶長鮑庶長武帥師伐晉、以救鄭。《註》庶長、秦爵也。
又縣名。『左傳・襄十八年』夏、晉人執衞行人石買于長子。《註》長子縣、屬上黨郡。
又『集韻』『韻會』『正韻』𠀤直亮切、音仗。『集韻』度長短曰長。
又『集韻』餘也。『正韻』多也、宂也、剩也。『論語』長一身有半。『世說新語』平生無長物。『陸機・文賦』故無取乎宂長。
又『正韻』知亮切、音障。增盛也。『韓愈詩』得時方長王。
- 部・劃數
- 長部(零劃)
『字彙』古文長字。註詳上。『正字通』長字在旁之文、髟髮諸字从此。
- 部・劃數
- 長部(零劃)
『集韻』長古作𨱗。註詳上。○按『字彙』𨱗字下尚有𠤐字、訓古文長字。『正字通』云、『說文』、『集韻』古文長字俱作𠑷、無有作𠤐者、『字彙』或另有據、但字形亦不應入長部。今移入𠤎部、此刪。
- 部・劃數
- 儿部・三劃
『玉篇』『集韻』𠀤古文長字。註見部首。『同文舉要註』从上人。尚書長字。
- 部・劃數
- 儿部四劃
『集韻』長古作𠑻。註見部首。
- 部・劃數
- 儿部五劃
『字彙補』古文長字。註見部首。
- 部・劃數
- 儿部五劃
『字彙補』同長。兏𤫋、玉名。見穆天子傳。
- 部・劃數
- 八部・五劃
『玉篇』古文長字。註見部首。
- 部・劃數
- 匕部三劃
『集韻』長古作𠤐。註見部首。
- 部・劃數
- 夊部五劃
『字彙補』古文長字。註詳部首。
異體字
或體。
或體。
簡体字。
音訓・用義
- 音
- (1) チャウ(漢) 〈『廣韻・下平聲・陽・長』直良切〉[cháng]{coeng4}
- (2) チャウ(漢)(呉) 〈『廣韻・上聲・養・長』知丈切〉[zhǎnɡ]{zoeng2}
- (3) チャウ(漢) 〈『廣韻・去聲・漾・仗』直亮切〉[zhàng]{zoeng6}
- 訓
- (1) ながい。とほい。まさる。すぐれる(長所)。
- (2) をさ。たける(成長、消長)。まさる。
- (3) ます。あまる(冗長)。
- (4) たけ。ながさ。
訓義(4)を、藤堂は音(1)に、KO字源は音(3)に讀むとする。共に『論語・鄕黨』長一身有半
を引く。
解字
長髮の人の象形。老人であるといふ。
白川
象形。長髮の人の形を象る。氏族の長老を意味する。上部は長髮の形。下部は人の側身形。長髮は長老の人にのみ許されたもので、部族を代表する者であつた。
徵は長髮の人を毆つ形で、この人をうち懲らしめることは、その部族に對して懲罰を與へる意味があつた。
微は巫祝者を擊つ形で、その呪力を「微くする」ために毆つ呪的行爲をいふ。
長髮、長老の意より、長久、首長などの意となる。
藤堂
象形。老人が長い髮を靡かせて立つさまを描いたもの。
落合
老と同じく長髮の人物の象形。
甲骨文での用例は「長子」の語にのみ見え、一般に年長者を指す語だつたかは不明。「ながい」は長髮からの聯想による派生義であらう。但し別源語に轉用されたとする説もある。
《合集》27641其侑長子、叀龜至、王受祐。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は、長髮の老人が杖をつく形を象る(葉玉森、劉釗、劉興隆、沈培)。本義は長者、年長、また長髮から長短の長の意を派生する。
長字と老字の構形初義は近く、長者は實のところ老人と同義であるため。部分字形は杖の形を省く。杖の形はあるいは匕の形に變形する。中山王鼎の長字は加へて立に從ふ。
甲骨文では方國名あるいは地名に用ゐ、また人名、南方の風名などに用ゐる(參・徐中舒)。
金文での用義は次のとほり。
- 長久を表す。
- 史牆盤
文武長剌(烈)
は、周の文王、武王の始めるところの長き事業の基の意。 - 中山王鼎
長為人主
は、長い間君主として(君主となす?)、の意。
- 史牆盤
- 年長を表す。中山王鼎
事少女(如)長
。
屬性
- 長
- U+9577
- JIS: 1-36-25
- 當用漢字・常用漢字
- 镸
- U+9578
- JIS: 2-91-50
- 𨱗
- U+28C57
- 𠑷
- U+20477
- 𠑻
- U+2047B
- 𠑿
- U+2047F
- 兏
- U+514F
- 𠔊
- U+2050A
- 𠤐
- U+20910
- 𡕣
- U+21563
- 仧
- U+4EE7
- 𠇬
- U+201EC
- 长
- U+957F
関聯字
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