旡 - 漢字私註
説文解字
㱃食气屰不得息曰㒫。从反欠。凡㒫之屬皆从㒫。今變隸作旡。居未切。
- 八・㒫部
古文㒫。
康煕字典
- 部・劃數
- 儿部四劃
『唐韻』居未切、音旣。『說文』㱃食气屰不得息曰㒫。从反欠。《註》隷變作旡。
- 部・劃數
- 无部(零劃)
- 古文
- 𠘸
- 部・劃數
- 几部四劃
『字彙補』古文旡字。註詳部首。『海篇』飮食逆氣、不得息也。
- 部・劃數
- 儿部・二劃
『玉篇』古文旡字。註詳部首。
音訓
- 音
- キ(漢) 〈『廣韻・去聲・未・旣』居豙切〉[jì]{gei3}
- 訓
- むせぶ。いきつまる。つきる。
解字
白川
象形。人が後ろ向きになつて口を開く形に象る。欠の反文。
『説文解字』に㱃食の气、屰にして息するを得ざるを旡と曰ふ
とあり、食し終へることを旣といふ。旣は食を前にして頭を背ける形で、十分に食し旣る意。
嘅、慨はみな旣に從ひ、そのやうな反顧の姿勢をいふ。
藤堂
象形。腹が一杯になつて、溜息を吐くさまを描いたもの。この字形は、欠(腹が減つて萎む)と反對。
のち、御馳走を示す部分を添へて、旣とも書く。
落合
象形。卩に從ひ、坐つた人が顏を背けたさま。人や女に從ふ字形もある。
甲骨文では、占卜用語として用ゐ、凶事の意。顏を背けることからの派生義か。《合集》18006貞、亡作旡。
後代にはむせぶ意で用ゐられたが、甲骨文にはその用法は見られない。
漢字多功能字庫
甲骨文は人が振り返り口を開く形を象る。『説文解字』は旡を反欠に從ふとする。その實、二字は上部の口の形の方向が相反するだけで、字形全體に反對の關係があるわけではない(裘錫圭)。
甲骨文の辭例の具體的な意義は不詳。
- 《合集》13587
甲戌卜、鼎(貞)、其㞢(有)乍(作)旡茲家。
- 《合集》18006 (上揭、省略) この例では負の意に用ゐる。(補註: 上の例も倂せての言及か否か不明瞭。)
後には單獨で使用されることはなく、主に偏旁に見える。
屬性
- 㒫
- U+34AB
- 旡
- U+65E1
- JIS: 1-58-60
- 𠘸
- U+20638
- 𠑶
- U+20476
関聯字
旡に從ふ字
- 𣄸
- 𣄴
旡聲の字
- 旣
- 㤅