章 - 漢字私註
説文解字
樂竟爲一章。从音从十。十、數之終也。
- 三・音部
康煕字典
- 部・劃數
- 立部六劃
『廣韻』『集韻』『韻會』諸良切『正韻』止良切、𠀤音彰。『說文』樂竟爲一章。从音从十。十、數之終也。
又采也。『書・臯陶謨』五服五章哉。『周禮・冬官考工記』畫繢之事、靑與赤謂之文、赤與白謂之章。
又明也。『易・垢卦』品物咸章。『書・洪範』俊民用章。
又文章也。『詩・小雅』維其有章矣。《箋》禮文也。
又篇章。『詩疏』詩有章句、總義包體、所以明情也。
又成事成文曰章。『孟子』不成章不達。『周語』將以講事成章。
又『周語』余敢以私勞、變前之大章。《註》表也、表明天子與諸侯異物也。
又條也、程也。『史記・高祖紀』約法三章。『太史公自序』張蒼爲章程。《註》章。歷數之章術也。
又大林木曰章。『史記・貨殖傳』千章金材。
又『爾雅・釋山疏』山形上平者名章。
又地名。『山海經』鮮山又東曰章山。又赤水之北有章尾山。『史記・楚世家』吳大敗楚于豫章。『前漢・地理志』勃海郡屬縣章武、章鄕、會稽郡屬縣句章、西河郡千章縣、廣平國斥章、東平國章縣。『後漢・光武紀』建武六年、改春陵鄕爲章陵縣。
又官名。『周禮・春官』保章氏。『前漢・王子侯表』千章侯。『百官志』東閣主章令丞。『師古註』主章、掌大材也。『前漢・宣帝紀』元康元年置建章衞尉。
又『爾雅・釋天』太歲在庚曰上章。
又樂名。『禮・記註』大章、堯樂名。
又印章。『漢官儀』吏秩比二千石以上、銀印龜鈕其文曰章、刻曰某官之章。
又章奏。『獨斷』凡羣臣書通於天子者四、曰章、曰奏、曰表、曰駁議。
又『左傳・僖五年』日南至。《疏》步曆之始、以朔旦冬至爲首、曆之上元、其年是十一月朔旦冬、至十九年閏月盡、復得十一月。朔旦冬至、故以十九年爲一章、積章成部、積部成紀。治曆者以此章部爲法、以知氣朔。
又章甫、殷冠名。『禮・郊特牲』章甫、殷道也。
又總章、舜明堂名。
又建章、漢宫名。在長安。城西周迴二十餘里。
又姓、秦將章邯。
又諡法。『逸書』温克令儀曰章。
又國名。『左傳註』謝、章、薛、舒、呂、祝、終、泉、畢、過、此十國皆任姓。
又俗或謂舅曰章。
又『六書音義』周章、怔營貌。又懼貌。亦作慞。
又『字彙補』與樟同。『司馬相如・子虚賦』楩楠豫章。
又與獐同。『周禮・冬官考工記』山以章。《註》讀爲獐。
『韻會小補』又叶之風切、音中。『書・臯陶謨』天秩有禮、自我五禮有庸哉、同寅協恭和衷哉、天命有德、五服五章哉。
又之亮切。同障。『禮・雜記』四面有章。
音訓
- 音
- シャウ(漢、呉) 〈『廣韻・下平聲・陽・章』諸良切〉
- 訓
- あきらか。あきらかにする。あや。しるし。のり(章程)。おしで(印章)。
解字
白川
象形。入墨の器である辛(針)の針先の部分に、墨溜りを示す肥點を加へた形に象る。これによつて入墨を行ふ。その文身の文彩あるものを文章といひ、その美しさを彣彰といふ。
『説文解字』に樂章の意とするが、音とは關係のない字形。
入墨の美を章といひ、その賦彩を示す彡を加へて彰となる。
入墨は刑罰の他にも、通過儀禮として、社會生活上の身分的なしるしとして多く用ゐられた。それで章明、喪章の意より、章程、憲章をいひ、また詩文の章節、樂章の意となる。
文が文身の意より文雅、文章の意となつたやうに、章も入墨の意から諸義が展開する。その展開の過程は、兩者に似たところがある。
藤堂
金文は辛(鋭い刃物)と⊕(模樣)の會意。刃物で刺して入墨の模樣をつけること。
篆文は音と十印(纏める)の會意。一纏めをなした音樂の段落を示す。
何れも纏まつてくつきりと目立つ意を含む。
漢字多功能字庫
金文は、䇂と、中に横劃を有する圓形に從ふ。構形初義不明。䇂の縱劃の下部は左あるいは右に彎曲する。䇂は乂の初文で、治理の意を有す。
朱芳圃は、柴薪を燃やすときの光彩が環を成す形を象り、彰の初文であるとする。
夏淥認は、辛と日に從ひ、日光が照つて新たな枝葉が生えるさまを表し、生氣が滿ち溢れるさまを象るとする。按ずるに金文は辛ではなく䇂に從ふ。䇂と辛は、䇂の縱劃の下部が左あるいは右に彎曲するが、辛の縱劃は眞つ直ぐであることで區別する。
金文での用義は次のとほり。
- 玉製の禮器を表し、後世に璋につくる。㒼簋
𠂤(師)黃賓㒼章(璋)一、馬兩。
は、師黃が一塊の玉璋を贈ることをいふ。 - 人名に用ゐる。
屬性
- 章
- U+7AE0
- JIS: 1-30-47
- 當用漢字・常用漢字
関聯字
章に從ふ字
- 竷