束 - 漢字私註
説文解字
縛也。从囗、木。凡束之屬皆从束。
- 六・束部
康煕字典
- 部・劃數
- 木部・三劃
『唐韻』書玉切『集韻』『韻會』輸玉切『正韻』式竹切、𠀤音㑛。『說文』縛也。徐曰、束薪也。『詩・周南』白茅純束。
又五疋爲束。『禮・雜記』納幣一束。
又五十矢爲束。『詩・周頌』束矢其搜。
又脯十脡曰束。『穀梁傳・隱元年』束脩之肉、不行境中。
又地名。『前漢・地理志』束州、趙地。
又姓。『統譜』望出南陽、漢疏廣後、避難改爲束。
又『韻會』春遇切『周禮・註疏』詩注切、𠀤音戍。約也。『周禮・司約註』言語之約束。約音要。『史記・漢高紀』待諸侯至、定要束耳。
又叶所律切、音率。『蔡邕・筆賦』削文竹以爲管、如桼絲之纏束。形條搏以直端、染元黃以定色。
从木从口、與朿別。
音訓
- 音
- ソク(呉) 〈『廣韻・入聲・燭・束』書玉切〉
- 訓
- たばねる。つかねる。たば。
- (國訓) つか: 長さの單位。四指を竝べた長さを一束といふ。また「束の間」に用ゐる。
解字
諸説及び引用されてゐる字形を竝べて見るに、以下の二系統ないし三系統が後に合一したと見ることが可能。可能なだけで、正しいかどうかは分からない。
白川
象形。束薪の形に象る。
『説文解字』に縛るなり。口木に從ふ。
とある。
金文に「帛束」「絲束」「矢五束」などの語があり、一定數のものを束ねて一束とした。
また束髮、束帶など、整へて結ぶことをいふ。
纏まることを結束といひ、行動については終束といふ。
藤堂
木と○印(束ねる紐)の會意で、薪を蒐めて、その眞ん中に紐を丸く回して束ねることを示す。縮めて締めること。
落合
象形。甲骨文は絲を紐狀に束ねた形。(補註: 上述a、cの形。漢字多功能字庫はcを糸として擧げる。)
また材木を束ねた形の字があり、成り立ちは異なるが、字義は束に當たる。(補註: 上述bの形。)
甲骨文での用義は次のとほり。
- 地名またはその長(絲を束ねた形の字體)。第一期(武丁代)には領主が子束とも稱されてゐる。また殷金文にも圖象記號として見える。《合集》672
翌乙卯、酒、子束𢏂。
- 祭祀名(兩系の字體)。《合集》30381
癸酉卜、其束三示。
金文には、aとbの形が繼承され、古文から篆文にかけて字體が統一された。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は、囊橐(袋)の兩端を縛る形に象り、本義は束縛。(補註: 上述aの形)
束と東は一字の分化したもので、いづれも袋の兩端を縛る形に象る。後に袋の中に橫劃を加へて東字を分化した。甲骨文の束に讀んで東となすものがあり、東方を表す。金文の束夷もまた讀んで東夷となす。
金文には甲骨文の形を承けるもののほか、斜劃を交叉し縛る形に象る字形があり、一説に木や柴薪を縛るさまに象り、これもまた縛る意と解くといふ。(補註: 上述bの形)
金文での用義は次のとほり。
- 單位詞に用ゐ、一束を表す。束縛の義からの派生義。不其簋
易(賜)女(汝)弓一、矢束。
- 族氏名に用ゐる。
屬性
- 束
- U+675F
- JIS: 1-34-11
- 當用漢字・常用漢字
關聯字
束に從ふ字
束聲の字
- 速
- 誎
- 敕
- 梀
- 欶
- 涑
- 娕
- 綀