周 - 漢字私註

説文解字

周

密也。从職畱切。

口部
𠄗

古文周字。从古文

説文解字注

周

密也。密、《山部》曰、山如堂者。引伸訓爲周緻也。『左傳〔昭二十年〕』晏子曰、淸濁小大。短長疾徐。哀樂剛柔。遟速高下。出入周疏。以相濟也。以周與疏反對。又『襄二十七年』春、胥梁帶使諸喪邑者、具車徒以受地、必周。杜皆云、周、密也。按忠信爲周。謂忠信之人無不周密者。

从用口。善用其口則密。不密者皆由於口。職畱切。三部。

𠄗

古文周字。从古文及。及之者、周至之意。

康煕字典

部・劃數
口部五劃
古文
𠱬
𠄗

『唐韻』職流切『集韻』『韻會』之由切、𠀤音州。『廣韻』徧也。『易・繫辭』知周乎萬物。

又至也。『書・泰誓』雖有周親、不如仁人。《傳》周、至也。

又忠信也。『書・太甲』自周有終。《傳》用忠信有終也。『詩・小雅』行歸于周。『論語』君子周而不比。《註》忠信爲周、阿黨爲比。

又終也。『左傳・昭二十年』以周事子。《註》周、猶終竟也。

又『說文』密也。『管子・樞言篇』先王貴當貴周、周者不出于口、不見于色、一龍一蛇、一日五化、之謂周。《註》深密不測、故周也。

又曲也。『詩・唐風』生于道周。《傳》周、曲也。

又『詩・周南・疏』周、代名、其地在岐山之陽、漢屬扶風美陽縣。

又『廣韻』備也。『前漢・路溫舒傳』鍛錬而周內之。《註》晉灼曰:精熟周悉、致之法中也。

又『廣韻』周帀也。『前漢・劉向傳』周回五里有餘。『韻會』俗作週、非。

又鳥名。『爾雅・釋鳥』巂周。《疏》今謂之子規。又『韓非子・說林篇』鳥有周周者、重首而屈尾、將欲飮于河則必顚、乃銜其羽而飮之。一作翢。

又不周、山名、在崑崙。『屈原・離騷』路不周以左轉兮。

又風名。『白虎通』西北曰不周風。不周者、不交也、言隂氣未合化也。

又陽周、平周、定周、皆縣名。『前漢・地理志』上郡陽周縣、西河郡平周縣、鬰林郡定周縣。

又姓。『廣韻』本自周平王子、別封汝川、人謂之周家、因氏焉。又魏獻帝次兄普氏、後攺爲周氏。又複姓、魏初徴士燉煌周生烈。

又與賙通。『論語』君子周急不繼富。『孟子』君之於氓也、固周之。

又叶市朱切、音殊。『季歷哀慕歌』梧桐萋萋、生于道周。宮榭徘徊、臺閣旣除。

部・劃數
口部・六劃

『集韻』古作𠱬。註詳五畫。

部・劃數
亅部六劃

『字彙補』古文字。註詳口部五畫。

音訓

シウ(漢) 〈『廣韻・下平聲・尤・周』職流切〉[zhōu]{zau1}
あまねし(周知)。すくふ(周急、周濟)。まはり(周圍)。めぐる(周回、周期)。

解字

大別して、彫飾のさまに象り、琱、雕、彫の初文とする説と、中に點を加へる形で、稠の初文とする説に分かれる。

白川

(盾)との會意。

周の國號に用ゐる字は、卜文では方形の干を四分して、雕飾の點を加へた形。金文に至つて下に祝禱の器の形を加へる。

金文に「周玉」(琱玉)、「玄周戈」(玄琱戈)のやうに用ゐ、周は琱、雕の初文。その雕飾の稠密であることから、周帀(補註: めぐりまはる、あまねくゆきわたる)の意となる。その雕盾が恐らく周族の徽號的な聖器であつたらしく、その器に祈つて行動したので、周がその國號、王朝の號となつた。周が雕盾の象であることは、畫や劃の字形に含まれる田の形が、周の元の字形であることからも知られる。

『説文解字』に字を口部に屬して密なりとし、用口の密なる意とし、《段注》にその意を善く其の口を用ふるときは、則ち密なり。とするが、字はや口耳の口に從ふものではない。

藤堂

の中いつぱいに米のある形と印の會意。切れ目なく全部に行き渡る意を含む。稠密の稠の原字。口印はくちではなく四角い領域を示し、全部に滿遍なく行き渡ることから周圍の意となる。

落合

耕作地であるやその變形に小點を加へ、穀物などを植ゑた狀態を表してゐる。甲骨文には田を變化させただけの略體もある。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. 地名またはその長。當初は殷に敵對して周方とも呼ばれたが、後に服屬し、婦周とも呼ばれてゐる。
    • 《合集》6812己卯卜奚貞、令多子族從犬侯撲周、戴王使。五月。
    • 《合集》484勿令周往于[⿸㫃丘]。
  2. 祭祀名。《合集》22246西禦三[⿱冖羊]、周妣庚。

字形は金文でを加へた會意の形となり、また古文以降には小點を加へた形が使へなくなつた。

後代には「めぐる」や「あまねく」の意味になつたが、耕作地全體を耕すことからの引伸義とされる。

漢字多功能字庫

甲骨文は模樣の刻まれた玉器に象る。朱芳圃は、字は格子が縱橫に走り模樣の刻まれた形に象り、彫、琱の初文であるとする。本義は彫琢された玉器。

周の甲骨文の釋義には二つある。一説に田疇の貌に象るとする(魯實先)。一説に彫や琱の初文で、彫飾のある玉器に象るとする(孫常敘)。『説文解字・琱字條』治玉也。一曰石似玉。从玉周聲。按ずるに周は、畫などの構成要素に當てられ、田疇と理解することは比較的難しいやうに思はれる。且つ金文に周を琱の本義に用ゐるものがあり、故にここでは後説を採用する。周は國名に借用されたため、金文にまた字形の下方にの形を加へる。甲骨文や金文では國名の字に往々にして分化符號の口を加へる。西周晩期に字形は段々とと同じ形となり、戰國文字は多くこれを承け、小篆もまたこの誤りによつて用に從ふ。

甲骨文での用義は次のとほり。

金文での用義は次のとほり。

金文に「周公」、「周生」、「周師」とあり、いづれも人名。

「宗周」は周朝が最初に建國したときの酆、鎬の二京が河を隔てて相望む一帶、今の西安の近郊を指す。「成周」は西周のときの東都を指し、周公旦により建てられた。周の亡んだ後、平王は成周に東遷した。今の洛陽白馬寺より西の地。

周は、模樣が細密なことより、周密(周到で綿密)、謹嚴の意を派生する。『左傳・昭公四年』其藏之也周。杜預注周、密也。

更に親密の義を派生する。『左傳・文公十八年』醜類惡物、頑囂不友、是與比周。孔穎達疏比是相近也、周是親密也。

また遍く行き渡るの意を有す。『廣雅・釋詁二』周、徧也。

また圍繞(取り圍む、巡る)の意を派生する。『楚辭・九歌・湘君』水周兮堂下。王逸注周、旋也。

また邏輯(論理、論理學)の「周延」。

屬性

U+5468
JIS: 1-28-94
當用漢字・常用漢字
𠱬
U+20C6C
𠄗
U+20117

關聯字

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