祭 - 漢字私註

説文解字

祭

祭祀也。从、以手持子例切。

示部

説文解字注

祭

祭祀也。統言則祭不別也。

从示、㠯手持肉。此合三字㑹意也。子例切。十五部。

康煕字典

部・劃數
示部・六劃

『唐韻』『集韻』『韻會』𠀤子例切、音霽。『說文』祭祀也。从示、右手持肉。

又『尚書・大傳』祭之言察也。察者、至也、言人事至於神也。

又『孝經・士章疏』祭者、際也、人神相接、故曰際也。詳見『禮・記祭法祭統祭義』諸篇。

又『廣韻』『集韻』側界切『韻會』『正韻』側賣切、𠀤音債。周大夫邑名。

又姓、周公子祭伯、其後爲氏。

音訓義

サイ(呉) セイ(漢)⦅一⦆
サイ(漢) セ(呉)⦅二⦆
まつる。まつり。⦅一⦆
官話
⦅一⦆
zhài⦅二⦆
粤語
zai3⦅一⦆
caai3, zaai3(又讀)⦅二⦆

⦅一⦆

反切
廣韻・去聲』子例切
集韻・去聲上・祭第十三・祭』子例切
『呉音集韻・去聲卷第十・祭第十一・精・四祭』子例切
聲母
精母(齒頭音・全清)
官話
粤語
zai3
日本語音
サイ(呉)
セイ(漢)
まつる
まつり
小説で神秘の武器を放つときの呪文に用ゐる。また廣く放つこと、使用すること。(古今文字集成引『漢語大詞典』)

⦅二⦆

反切
廣韻・去聲・怪・瘵』側界切
集韻・去聲上・怪第十六・瘵』側界切
『呉音集韻・去聲上・怪第十三・照・二瘵』側界切
聲母
照母(正齒音・全清)
官話
zhài
粤語
caai3
zaai3(又讀)
日本語音
サイ(漢)
セ(呉)
周代の國名。今の河北省長垣縣に建てられ、後に今の河南省鄭州市に遷された。《段注》は𨝋を本字とする。

解字

白川

の會意。示は祭卓の象。その上に牲肉を供へて祭る。

『説文解字』に祭祀なりとあり、とは(蛇)の形に從ふ字で、自然物を祀ることをいふ。

藤堂

(手)と(祭壇)の會意。肉のけがれを清めて供へることを表す。

落合

會意。甲骨文は祭肉()を手()で捧げ持つ形。滴り落ちる血液を表す小點を加へた字形が多い。殷代には、祭祀の汎稱ではなく、特定の祭祀の名として使用された。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. 祭祀名。先王に對して行はれた。《合補》10983辛丑卜貞、王賓祖辛祭、亡尤。
  2. 地名。殷に敵對して祭方とも呼ばれた。《合集》1051壬辰卜㱿貞、雀弗其⿻屮戈祭。三月。

西周代に供物を置く机の象形のが加へられた。

漢語多功能字庫

甲骨文はに從ひ、手で牲肉を持つて神を祭るさまに象る。字中の數點は血滴の形に象り、あるいは肉汁に象るといふ。本義は肉を持ち獻じ祭ること(あるいは獻ずる祭)。後期にはを加へる。示は祖先あるいは神主(位牌)の祭牌に象り、神を祭るの義を強調する。祭は殷代には五種類の祭祀の一種の專名で、肉祭の意。『詩〔小雅〕信南山祭以清酒、從以騂牡、享于祖考。執其鸞刀、以啟其毛、取其血膋。『説文解字』祭祀也。從示、以手持肉。

と肆の甲骨文の形は近い。古代の血食(祭で供へる物)は必ず殺すことで提供され、故に祭の語もまた殺より起こつた。『呂氏春秋・季秋紀』豺乃祭獸戮禽高誘注於是月殺獸、四圍陳之、世所謂祭獸。祭、殺、肆は同義で相通ず。

金文では人名に用ゐる外、多く祭祀を表す。

屬性

U+796D
JIS: 1-26-55
當用漢字・常用漢字

關聯字

祭に從ふ字を漢字私註部別一覽・示部・祭枝に蒐める。