舛 - 漢字私註

説文解字

舛

對臥也。从𡕒相背。凡舛之屬皆从舛。昌兖切。

舛部

楊雄說、舛从春。

別條に揭出する豫定。

説文解字注

舛

對臥也。謂人與人相對而休也。引伸之足與足相抵而臥亦曰舛。其字亦作僢。『〔禮記〕王制・注』釋交趾云、浴則同川臥則僢足是也。又引伸之凡足相抵皆曰僢。『〔周禮・春官〕典瑞』兩圭有邸《注》云、僢而同本是也。『淮南書』及『周禮』注多用僢字。

从夊𡕒相背。相背猶相對也。昌兖切。古音在十三部。

凡舛之屬皆从舛。

楊雄作舛从足萅。春聲也。〔文選〕李善注『魏都賦』引司馬彪『莊子』注曰、踳讀曰舛。舛、乖也。按司馬意舛踳各字而合之。楊許則云踳爲舛之或也。葢訓繤篇如此作。諸家多用踳駮、謂譌舛也。

康煕字典

部・劃數
部首

『唐韻』昌兗切『集韻』『韻會』『正韻』尺兗切、𠀤音喘。音1『說文』對臥也。从夕㐄相背。『博雅』舛、偝也。『前漢・楚元王傳』朝臣舛午、膠戾乖剌。《註》言志意不和、各相違背也。『抱朴子・任命卷』躁靜異尚、翔沉舛情。

又『廣韻』剝也。『莊子・天下篇』惠施多方、其書五車、其道舛駁。

又『增韻』舛、錯也。『韻會』錯亂也。『左思・吳都賦』詭類舛錯。『王融・靜行詩』遵塗每多舛、顧省能無忡。

又『類篇』尺尹切、音蠢。雜也。

音訓義

セン(漢)(呉)⦅一⦆
シュン⦅二⦆
そむく⦅一⦆
たがふ⦅一⦆
ます⦅國訓⦆
官話
chuǎn⦅一⦆
粤語
cyun2⦅一⦆

⦅一⦆

反切
廣韻・上聲』昌兖切
集韻・上聲下𤣗第二十八』尺兗切
『五音集韻・上聲卷第八・獮第十一・穿三舛』昌兖切
聲母
昌(正齒音・次清)
開合
等呼
推定中古音
tɕʰyɛn
官話
chuǎn
粤語
cyun2
日本語音
セン(漢)(呉)
そむく
たがふ
背く。違ふ。舛逆。舛午。
違ふ。誤る。舛訛。舛誤。
亂れる。入り混じる。舛互。舛錯。舛雜。舛駁。
『廣韻』: 剥也。『說文』曰「對臥也。從夂㐄相背。」夂、中几切。㐄、口瓦切。昌兖切。四。
『集韻』舛踳: 尺兗切。『說文』「對臥也。从夕㐄相背。揚雄說、舛从足春。〔踳〕」一曰錯亂。文十。
『康煕字典』上揭

⦅二⦆

反切
『集韻・上上・準・蠢』尺尹切
『五音集韻・上聲卷第八・準第二・穿三蠢』尺尹切
聲母
昌(正齒音・次清)
等呼
日本語音
シュン
踳に同じ。
『集韻』踳舛僢蝽: 雜也。或作舛僢蝽。

國訓

ます
補注
本邦ではと混同され、その俗字として用ゐる。

解字

白川

と𡕒の會意。左右の足が外に向かつて開く形。

『說文』にむかひて臥するなりとするが、左右相違つて進み得ない形で、乖誤の意。

莊子・天下』に惠施多方、其書五車、其道舛駁、其言也不中。(惠施多方にして、其の書五車、其の道舛駁にして、其の言や中らず。)とあり、相矛盾することをいふ。

舛の反文は𣥠、發の從ふところ。

字はまた踳、僢につくる。足の交錯し、みだれることをいふ。

藤堂

會意。左足(偏)と右足(旁)が互ひ違ひの方向にあつて、行き違ふこと。

漢字多功能字庫

方向が相反する二に從ひ、二つの足がそれぞれの路を行くさまに象る。そこから違背、橫逆などの義が派生した。

季旭昇の分析に據ると、古文字中に單字では見えず、字の下に二足が反對を向く形が往々にして出現するといふ。季氏は、舛字は戰國以後の文字學者が分析のために創り出した字であらうといふ。

季旭昇

釋義

雙脚。引伸して相背、舛訛。

釋形

古文字に單獨の舛字は見えず、往々にして大の形の兩足の下に足の形を加へる。例: 舞、

舛字は戰國秦漢以來の文字學家が析出した一個の新生の字であらう。『說文』の釋は必要無い。

屬性

U+821B
JIS: 1-33-4

関聯字

舛に從ふ字を、漢字私註部別一覽・止部・舛枝に蒐める。