詹 - 漢字私註
説文解字
多言也。从言从八从厃。
- 二・八部
康煕字典
- 部・劃數
- 言部・六劃
『唐韻』職廉切『集韻』『韻會』『正韻』之廉切、𠀤音占。『說文』多言也。『莊子・齊物論』大言炎炎、小言詹詹。『韻會』或作譫。
又『爾雅・釋詁』至也。《疏》詹、楚語也。古雅之別名也。『詩・魯頌』魯邦所詹。《傳》至也。
又官名。『前漢・百官公卿表』詹事、秦官、掌皇后、太子家。《應劭註》詹、省也、給也。『唐書・百官志』詹事府太子詹事、少詹事、各一人。
又山名、草名。『博物志』右詹山、帝女化爲詹草、其葉鬱茂、其華黃、實如豆、服者媚于人。
又姓。周宣王支子封詹侯、因以爲氏。『左傳』有詹父、詹桓伯。『列子』有詹何。
又通作瞻。『春秋・莊十七年』齊人執鄭詹。《註》詹、鄭執政大夫。『公羊傳』作鄭瞻。『史記・周本紀』顧詹有河。《註》詹、同瞻。
又與占通。『楚辭・卜居』往見太卜鄭詹尹。《註》占卜之官也。
又與蟾通。『淮南子・說林訓』月照天下、蝕於詹諸。《註》月中蝦蟇。『爾雅・釋魚』作蟾諸。
又『字彙補』徒濫切、音澹。足也。『呂覽・適音篇』夫音亦有適、太小則志嫌、以嫌聽小、則耳不充、不充則不詹、不詹則窕。《註》詹、音澹。
又叶多甘切、音儋。『詩・小雅』六日不詹。《傳》詹、同瞻。叶上藍襜。『毛詩・古音考』說文、儋何之儋、儋耳之儋、皆云詹聲、是詹有儋音、舊以爲叶、過矣。
『說文』在八部、从言从八从厃。《徐曰》厃、高也。八、分也。多故可分。俗作𦧕、非。
- 部・劃數
- 舌部六劃
『集韻』俗詹字。
音訓・用義
- 音
- (1) セム(漢、呉) 〈『廣韻・下平聲・鹽・詹』職廉切〉[zhān]{zim1}
- (2) タン 〈『字彙補』徒濫切、音澹〉
- 訓
- (1) みる。いたる。
- (2) たりる。たす。
詹詹とは、多言なるさま、くどくどしいさま。音(1)に讀む。
解字
白川
金文の《國差𦉜》の𦉜の從ふ字形によつて考へると、字は厂と八と言とに從ふ。巖(厂)下のところで祝禱し、そこの神意の彷彿として下る形(八)を示す。尙、兌、容の字形に含まれる八は、みな神氣の象。その呪誦の言を詹といふ。
『莊子・齊物論』(上揭)小言は詹詹たり。
のやうに呟くやうな聲をいふ。
『説文解字』に多言するなり。言に從ひ、八に從ひ、厃に從ふ。
とする。
譫言のやうな呪誦の意。すべて數の多いこと、濃厚でないものを詹といふ。
藤堂
厃(上から押さへる)と八(擴がる)と言の會意。口を塞いで、ぶつぶつと物を言ふこと。噡、譫の原字。
漢字多功能字庫
構形に未だ定論有らず。戰國楚系文字は八と言に從ふ。字形は檐字條を參照のこと。小篆は詹に作り、『説文解字』は本義を多言とする。季旭昇は、多言は字を作るのが難しく、詹は言の基礎の上に作つた字であるに違ひないとする。傳世文獻での用例は次のとほり。『莊子・齊物論』大言炎炎、小言詹詹。
成玄英疏炎炎、猛烈也。詹詹、詞費也。
また至る、到達することを表す。『爾雅・釋詁上』詹、至也。
- 『詩・小雅・采綠』
五月為期、六日不詹。
毛傳詹、至也。
- 『文選・張平子・思玄賦』
黃靈詹而訪命兮、樛天道其焉如。
供給を表す。
- 『史記・魏其武安侯列傳』
魏其侯竇嬰者、孝文后從兄子也……孝景初即位、為詹事。
- 『漢書・百官表』
詹事、秦官、掌皇后、太子家。
顏師古注引應劭曰詹、省也、給也。
秦漢の時期に「詹事」の職が設けられた。詹事は給事、執事のことで、皇后や太子の家事を管掌した。後漢で廢止され、魏晉に至つて復た設けられ、歷代踏襲して置かれた。
瞻と通じ、仰望を表す。
- 『詩・魯頌・閟宮』
泰山巖巖、魯邦所瞻。
朱熹集傳詹、與瞻同。
屬性
- 詹
- U+8A79
- JIS: 2-92-8
- 𦧕
- U+269D5
關聯字
詹に從ふ字を漢字私註部別一覽・言部・詹枝に蒐める。