達 - 漢字私註
説文解字
説文解字注
行不相遇也。此與《水部》滑泰字音義皆同。讀如撻。今俗說不相遇尙有此言。乃古言也。讀徒葛切。訓通達者、今言也。
从辵羍聲。十五部。
『詩』曰「挑兮𨔶兮」。『鄭風〔子衿〕』文。挑當同《又部》作𠬢。𠬢、滑也。
𨔶或从大。亦形聲也。
或曰此迭。下脫字字。或曰、此迭字之異體也。《鳥部》隼、一曰鷻字。《䖵部》𧖅、一曰螟字。《彳部》𢕬、一曰此與馺同。是其例也。
康煕字典
- 部・劃數
- 辵部・九劃
『廣韻』唐割切『集韻』『韻會』陀葛切、𠀤音薘。『玉篇』通也。『書・堯典』達四聰。『禮・禮器』君子之人達。『左傳・昭七年』其後必有達人。《註》知能通達之人也。
又通顯也。『孟子』達不離道。『又』達則兼善天下。
又薦也、進也。『禮・儒行』推賢而進達之。『前漢・黃香傳』在位多所薦達。
又生也、遂也。『詩・周頌』驛驛其達。《註》苗生出土也。又『商頌』莫遂莫達。
又徧也。『書・召誥』則達觀于新邑營。《註》通達觀之、言周徧也。
又宜也。『詩・商頌』受小國是達、受大國是達。《註》言無所不宜也。
又皆也。『禮・禮器』君子達亹亹焉。《註》達、猶皆也。
又專決行事曰專達。『周禮・天官・小宰』大事從其長、小事則專達。
又以物相將曰達。『周禮・夏官・懷方氏』達之以旌節。《註》達民以旌節、達貢物以璽節。
又從入曰達。『書・禹貢』達于河。
又夾室也。『禮・內則』天子之閣、左達五、右達五。《註》達、夾室也。各有五閣、以庋食物也。
又窻牖也。『禮・明堂位』刮楹達鄕。《註》每室八窻爲四達、天子之廟飾也。
又小羊名達。『詩・大雅』先生如達。《註》羊子易生、無留難也。
又州名。『字彙補』梁萬州攺通州、宋攺達州。
又『廣韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤他達切、音闥。『集韻』行不相遇也。『正韻』挑達、往來相見貌。『詩・鄭風』挑兮達兮。《註》挑、輕儇也。達、放恣也。
『集韻』或作达。
- 部・劃數
- 辵部・三劃
『廣韻』『集韻』𠀤他計切、音替。『字林』足滑也。『王褒・洞簫賦』其妙聲則淸靜厭瘱、順敘𤰞达。《註》达、滑也。
又『集韻』他達切、音闥。與㒓同。『博雅』逃也。一曰行不相遇。
簡体字に用ゐる。
- 部・劃數
- 辵部・四劃
『正字通』达字之譌。
- 部・劃數
- 辵部・四劃
『正字通』达字之譌。
異體字
或體。
音訓・用義
- 音
- (1) タツ(漢) ダチ(呉) 〈『廣韻・入聲・曷・達』唐割切〉[dá]{daat6}
- (2) タツ(漢) タチ(呉) 〈『廣韻・入聲・曷・闥』他達切〉[tà]{taat3}
- 訓
- (1) とほる。とほす。およぶ(到達)。
挑達は音(2)に讀み、往來するさま、往來し相見ること、足早に步き回るさま、輕く跳ね躍るさま、自由自在、放縱不羈なること。
本邦で友達など複數の意に用ゐるのは音を當てたもの。
解字
白川
形聲。聲符は羍。
『説文解字』に行きて相ひ遇はざるなり
とするのは、『詩・鄭風・子衿』挑たり達たり
の句意をとるものであらうが、達は通達の意。
羍は羊の子が脱然として生まれる形。『詩・大雅・生民』先生如達
(先づ生まるること達の如し)とは羍の意。
達は辵に從つて往來通達の意。すべて情意の通達することを達といふ。
藤堂
辵(進む)と羊と音符大の會意兼形聲。羊は、すらすらと子を産む安産のシンボル。達は、羊の出産のやうにすらすらとおすことを表す。大は昔dadと發音したので、タツの音をも表した。
落合
甲骨文は彳、止、大に從ふ會意字。道を戻ることを意味する逆とは上下逆向きになつてをり、前に向かつて進み、到達する樣を表す。隸定すると达。甲骨文には止を省いたり上下逆向きの夂に替へた異體も多い。
甲骨文では、地名またはその長を表す。殷の支配下にあつたが、一部に敵對する記述も見られる。《合集》9575丙申卜爭貞、令達屎、侑田、受…。
金文で辵を意符、子羊を意味する羍を聲符とする形聲字が作られ、更に隸書で羍が變形した。
漢字多功能字庫
甲骨文は辵と大に從ふ。『説文解字』の或體の形に同じ。大は聲符。人が大路を行くさまに象り、通達(通ず)、到、至などの義を含む(參: 《漢字圖解》)。甲骨文では人名に用ゐる。金文は辵と午と羊に從ふ。構形初義不明。
齊系金文は、字形に訛變があり、羊を口に從ふ別の形(補註: 舌に似た形に見える。)に替へる。楚系文字は辵と二橫劃と口に從ふ。趙平安は、二橫劃と口はいづれも飾筆で、戰國文字によく見られる、と指摘する。
金文での用義は次のとほり。
- 討伐を表す。史牆盤
達(撻)殷畯民
。『尚書・顧命』用克達殷集大命
の「達殷」は「撻殷」と讀むべし。『詩・商頌・殷武』撻彼殷武、奮伐荊楚
。《經典釋文》の引く韓詩撻、達也。
(補註: 撻は鞭などで打つ意。鞭撻の撻。) - 人名に用ゐる。
楚簡では通達(通ず)、發達を表す。《郭店楚簡・窮達以時》窮達以時
は、困窮と發達は時機と巡り合はせ次第であるといふ。
このほか、趙平安は甲骨文で舊く途と釋された字が達字であり、撻伐(討伐)や「讓……來」、「讓……去」(來させる、行かせる)などの意を表すとする。
屬性
- 達
- U+9054
- JIS: 1-35-3
- 當用漢字・常用漢字
- 达
- U+8FBE
- JIS X 0212: 65-22
- 迏
- U+8FCF
- 迖
- U+8FD6
- 𨔶
- U+28536